電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2003-01-01から1年間の記事一覧

と、いうわけで良いお年を

と、いうわけで何だかあっという間に本年も終わってしまった。毎年の事ながら、季節感もくそもなくいつの間にやら大晦日になってて、それらしく蕎麦やら餅やらも買って来て食うが、子供の頃のようには季節感が身にしみないのは少々淋しいが、ま、大人になる…

灰と星

先日、数年ぶりに年賀状というものを書き、今回はついでにもう10数年も逢ってない郷里の中高生時代の友人にも書いてみた。本年の初め、親父の三回忌で九州を訪れる機会があった時に、むかし通ってた中学校の周辺をほっつき歩いたりなんかしたためである。普…

ついでにちょっとした昔話の整理

12/20付で呉智英夫子と2ch世代について書いた後、高井守氏の「永久保存版」を覗いたら、高井氏もそれに異議ないようだったんで、調子に乗ってもう一点のみ補足を。 (ちなみに、わたしは呉智英夫子の以費塾にいたことがあり、つまり高井氏は一応兄弟子格でも…

戦後民主主義的な戦後民主主義批判者

朝鮮総連やら日教組に威嚇的なテロを行っていた、建国義勇軍 国賊征伐隊の面々が逮捕された。 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/kenkoku_giyu_gun/この事件が起きた直後、何気にネットを覗いたら、例によってチョン叩き好きの人たちが脊髄反射の如…

繰り返されるよくある話――劣化するコピー

先日『永久保存版』の高井守(汎田礼)氏が、呉智英夫子について触れ「その影響は巡り巡って2ちゃんねるの書き込みまで及んでいます。」と書いていた。 個人的に、これには少し補足が必要だと感じたので、勝手に説明させていただく。高井氏が言わんとするの…

墨田区を歩く

最近、短期雇いアルバイトでたまたま墨田区の、押上のちょい先に来ている。 墨田区、江戸川区、台東区、大田区などといった東京の東側というのは、もっぱら江戸東京土着民の土地で、わたしは地方出身プータロの典型らしく、西武新宿線沿線の中野区在住で、杉…

ナチスはドキュン

自分自身の怠惰と無能もあるが、長期不況の影響もあって相変わらず職にあぶれたままでいる。そんな状態で目につくニュースはといえば、景気の悪い話か、そんな一方で何やらおいしい思いをしている連中の話だ。 くそったれが、俺がこの一、二年こうしてた間に…

昨日の補足

昨日ちょっと触れた、進歩的・近代的価値観がイコール男性原理と反するとは限らない、ということの良い例は、アメリカにおける女性と黒人の地位向上は第二次世界大戦での徴用によるところが大きかった、という皮肉な逆説だろう。もっとも、わたしは別に、こ…

『大航海』読んで大後悔(←いや、すみません……)

高田馬場芳林堂で何気なく新書館の『大航海』 http://www.shinshokan.co.jp/daikoukai/dai-index.html 最新号が「ファンタジーと現代」って特集で、小谷野敦の書いてた「ファンタジーは君主制の夢を見るか?」という記事が気になって読んでみる。NHKの『…

最低でも27種類(※掲示板投稿より再録)

(注:中学生レベルの妄想です。あまり真面目に受け取らないで下さい) とりあえず、最低でも27種類の人間がいるな、と思った。 えー、これはあくまで風呂場の妄想、単なる気まぐれ思いつきなので大真面目に「そうやって人を型にはめて考える思考はっ!」と…

活字で物は動かせるか

先日の三島由紀夫の件で、三島は死んで呪いを残した、と書いてから、そこから連想して思ったこと。 そもそも言葉というのは呪いである。確か中島らも『ガダラの豚』にもそんな意味のことが出てきたような気がする。呪文というものがある。アラビア人は「開け…

自己紹介に替えて

ところで、この日記のネーミングの由来とか何も説明が無いから今さら一応書いておく。 このサイト名はどうも紛らわしいようで、民俗学、文化人類学用語としての「アジール」という言葉を検索して、ここがヒットしてしまった人もいれば、石野卓球の電気グルー…

現在の自衛隊PKOのような構想

も三島は考えてたらしい。なんでも、自衛隊を二つに分け、一方は純粋な日本の国土防衛に当て、一方、国連の下に国際紛争解決のための国際警察軍を作り、そこに自衛隊を参加させる、とかいうものだ。わたしはこのことを1991年頃の鈴木邦夫氏の文章で知ったが…

さて、先頃の衆院選挙に中曽根康弘元総理が

出馬を表明していたが、自民党の世代交代、老害の排除というイメージ戦略を狙う小泉首相のたっての要望で元総理は出馬を断念したわけだが、その中曽根元総理「自分が政治家として現役の内に憲法改正を実現させたかった」ってのが永年の望みであったとか、そ…

11月25日は「楯の会事件」、三島由紀夫の命日。

昭和45(1970)年のこの日、三島由紀夫は、自らが率いていた青年組織「楯の会」のメンバーと共に自衛隊市ヶ谷駐屯地に乱入、自衛隊に決起を訴え割腹自決した。三島由紀夫は、1960年代当時、さしずめ現在の北野武と宮台真司と町田康を全部足した以上のサブカ…

日本一セコい、矢作俊彦『ららら科學の子』書評

タイトル通り、2003年文壇の問題書、矢作俊彦『ららら科學の子』読了。で、忌憚の無い感想文。 日記に書くには長くなりすぎたんで下記へ。 http://www.axcx.com/~sato/bq/13.html

そう、ノスタルジー商品でも再現不可能なものがある

ひょっとするとそれは意図的に捨象されているのかも知れない。それは何かというと、かつて、回転式チャンネルのテレビや花柄のポットと共にあった人間関係の形態だ。線引き屋応援掲示板でも出てた話題だが、21世紀になっても、宇宙ステーションもアトムのよ…

唐沢寿明の『白い巨塔』リメイク版がなかなか好評だという。

http://www.fujitv.co.jp/shiroikyoto/index2.html というか、昨今、昔のTVドラマとか映画とか漫画やアニメのリメイク、続編はすっかり珍しくも何ともなくなった。 そこいらのガシャポンで昔のアニメや特撮ヒーロー物のフィギュア、グッズが大量に売られてい…

商品化不能な花柄ポットの嫌な思い出

先日は「共有基盤を失った共同体」が求めるものについて、差別の需要――スケープゴートという負の側面にいきなり触れたが、こちらが裏の現象と言えるのなら、じゃあ表の現象のひとつがこれなんだろうな、と前々から思っていることも挙げてみたい。

補足 或いは「大地から切り離された民」について

10/20付で「ある寓話」などと書いたが、こうやって具体性を消去して考えると、何やら一見、ウィットの効いたブラックユーモア小話を気取ってるのかと思われそうだが、具体的な現実に即して考えると、実は非常に単純にしょーもなく生臭い話だったりする。先日…

ある寓話

その町は非常にきれいな町だったが、本心からその町に愛着を抱き、他の住人と精神的に何かを共有している住民は一人もいなかった。 なぜなら、その町は、よそ者同士ばかりの寄せ集めでできていたからである。 だから、その町の住人たちは皆、腹の底では、隣…

「この男の人生を……笑うな!!!!」俺は笑えない

一部で本年度最高の問題作漫画と囁かれる『最強伝説 黒沢』福本伸行(小学館)第1巻、2巻を読む。 http://www.walkerplus.com/tokyo/20030624/bo1532_pkup.html 確かに凄ぇ。こいつぁ、狩撫麻礼+いましろたかし『ハードコア』を超える珠玉のダメ人間漫画…

白か黒かにあらず――まだらの世界

先日の「民主党はなぜモテへんか?」問題で畏友と長距離電話雑談。 つまり小泉総理は、半ば無意識にか、クラスの雰囲気を「小泉君とりあえずかんばってるんだから悪く言っちゃだめじゃーん」という方向に誘導するのがうまいのであり、そういう人間に理で細か…

モテへん野党男

先日の拳銃社長との電話雑談中リクエストされたのが以下の話題http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031003-00000111-mai-pol政治ニュース - 10月3日(金)1時15分 <民主党>「なぜ女性にモテない」とレポート作成> 「われわれはなぜ女性にモテないのか」。こ…

野党の与党精神(の欠落)について

わたしは観てなかったが、タイムボカンシリーズの最新作としてやってた『怪盗きらめきマン』というのは、主人公が泥棒で、おなじみ悪の三人組が悪徳警官だという。冷戦体制崩壊後10年で若者の価値観も保守化したと言われ、じゃあ昔からの政治的保守的立場の…

言い訳ラーメン

前から気になってた渋谷駅側のハイカラ食堂でカレーとラーメンを食う。 http://www.trb.co.jp/Haikara/Shibuya/ ラーメン一杯280円というデフレスパイラル価格と、美空ひばり映画ポスターの貼られた昭和30年代風な内装、というコンセプトはいかにも今様だが…

日本的滅私奉公 アメリカ的突貫精神

図書館のビデオ棚にあった『ガン・ホー』 http://www.natural-life.net/aroma/movie/j020329.htm が前から気になっていたのだが、先日借りてきて観る。この映画、今となっては懐かしき80年バブル期の日米貿易摩擦問題やらジャパン・バッシングを扱った作品、…

うそ臭くないヒーロー

昨年の秋に日記を始めてしばし後、珍しくリアルタイム物として『仮面ライダー龍騎』を取り上げたが、今やってる『仮面ライダー555(ファイズ)』 http://www.tv-asahi.co.jp/555/ が、なんか俺としてはいまいち面白くない。昨年『龍騎』の画期的な点は計13人…

ギロチン、ギロチン、シュシュルルル…

今年、天本英世氏が亡くなった折に「あと、戦中派で似たような雰囲気を持つ人と言えば、岡本喜八に水木しげるに鈴木清順くらいかな」と書いてたが、その清順を生で拝む機会に恵まれた。本日2003年9月16日というのは、無政府主義者大杉栄の殺害から80周年とい…

正義と手続き

日頃の怠惰のツケがきて、最近、奈落氏には劣るかも知れないが、急に忙しくなってしまった。 で、本を読んだりテレビを見たりなどほとんどなく、本屋で雑誌立ち読みくらいしかしてないのだが、その中で、先週頭に残ったトピック。世情に疎いわたしは、りそな…