電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

捏造される「伝統」

「宮中晩餐会の同性パートナー出席、反対」自民・竹下氏 「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(晩餐会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」 http://www.asahi.com/articles/ASKCR52GFKCRUTFK006.html どうやら竹下亘総務会長の…

弱者への嫉妬について

「英雄ってのはさぁ…英雄になろうとした瞬間に失格なのよ。お前、いきなりアウトってわけ。」 北岡秀一 『仮面ライダー龍騎』 https://www.youtube.com/watch?v=vqV1ZBM-d6E 前々から思っていたことであるが、わたしは「キモくて金のないおっさん=かわいそ…

周回遅れの最先端

私はとんねるずが好きなんだけど嫌いな人や批判してる人が何をいけないと言ってるのかすごくよくわかる - id:lisagasu - lisagasu - はてなハイク http://b.hatena.ne.jp/entry/h.hatena.ne.jp/lisagasu/316623163035337899 とんねるず自体に対しては、「い…

米朝開戦を「正しく怖がる」試論

「今回は大量の難民、覚悟しなきゃ」麻生副総理 2017年10月14日16時33分 http://www.asahi.com/articles/ASKBG4JXFKBGOHGB009.html もし米朝開戦となれば、日本に北朝鮮ないし韓国から難民が流入する可能性は充分にある。だが、1950年の朝鮮戦争当時とまった…

バブル崩壊で日本は滅亡しましたか?

石平「中国『崩壊』とは言ってない。予言したこともない」 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト http://b.hatena.ne.jp/entry/www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8667.php 近年、2015年6月に起きた上海株式市…

続・歴史の捏造について

この手の、政治や軍事の大局の話ばかりで現実をわかった気になって、庶民の生活実感の歴史とかを知らん(学ぼうとしない)人間がドヤ顔すると、ろくなことにならない。 しばし前、ひどい歴史の捏造を目にした。 昔は20代のOLでも純朴な女性が大半だった…

平和ボケと戦争オタク

この時期の風物詩というやつで、区役所に入ると、原爆投下直後の広島長崎の写真パネルを何種類も展示してる。 「これ、日本国内じゃなくて今の北朝鮮とかアメリカとかで展示しなけりゃ意味ねえだろ」と思うのだが、連中は逆に「そうか核兵器というのはこんな…

愛国者からはブサヨと呼ばれ、リベラル派からはウヨと呼ばれるのを希望する

以前も述べたが、右翼は意志的な属性ではなく、先天的な属性に話を持ってゆきたがる。右派とは自分が持って生まれた陣営を肯定する、自分が属する国家、民族、人種などこそすぐれているという言説は人に優越感を与える、そこに右派の「魅力」がある。優越感…

本邦初の怪企画『セカウヨ』

というわけで、当方の企画立案で年頭から進めていた、グループSKIT編著『世界の右翼』(isbn:4800271878)が刊行。内容は以下のような感じ。 ○序章 世界の右翼とは何か ・右翼の歴史 フランス革命から現代まで ・ファシズムとは右翼なのか? ・出会い系まで…

イッツ オール ライト

小津安二郎という偽善者

ここで少々いきなり話が飛躍するが、これも前々から強く気にかかっていたことなのでついでに述べると、わたしは小津安二郎の『東京物語』という映画がどうにも嫌いだ。なんでこんな作品が美しい日本人の姿なんて言われるのか、まったく理解できない。 『ひよ…

忘れられた小さな英雄

NHKドラマの『ひよっこ』を見ていたら、前々からの漠然とした疑念が頭をよぎって仕方なくなってきた。 以前も述べたが、わたしは現在の少子化の原因が、「悪い左翼フェミニズムが女性の社会進出を唱えたり、日本国憲法が家族の絆より個人主義を広めたせいだ…

生存報告(最近の仕事)

あんまり長いことブログを放置していると「何やってたんだ?」と思われるので、とりあえず年末年始〜春先の仕事の一部を記しておきます。 『名作名言 一行で読む日本の名作小説』(isbn:4800268370) 島崎藤村『破戒』、太宰治『人間失格』、小林多喜二『蟹…

「反対側にお花畑」の人々

軍事専門家のお言葉 https://twitter.com/toshio_tamogami/status/858304234210512896 田母神俊雄 認証済みアカウント @toshio_tamogami 北朝鮮がミサイルを今朝5時半ごろ発射したことで東京の地下鉄など電車が一部止まったそうだ。騒ぎ過ぎである。北朝鮮…

イヤなミリオタ

随分と昔のことであるが、イヤなミリオタ(ミリタリオタク)がいた。 学校で同じクラスの面々は、最新のファッションだのJ-POPだの、昨日のTVドラマだの野球中継の試合結果だの、あるいは隣のクラスの誰それが可愛いとか、そんな話ばかりしている。 平和ボケ…

あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします。

回顧と展望

本年、何やってたんだよ? と言われるかも知れないので、今年後半の仕事の一部を説明。 『日本の神様イラスト大図鑑』(isbn:4800263050)、スサノオノミコト、建御名方神、猿田彦、熊野三神、菅原道真、蛭子神、などの項目を執筆。 『60分で名著快読 マキア…

本年、書き落としたことなど

トランプ大統領実現について一言。日本は天皇がいて良かった。もう日本は永久に選挙で国家元首を選ぶ共和制にはならないで欲しい。 『あまちゃん』劇中の「海死ね」が許されて「日本死ね」が許されない謎。「海死ね」なら日本一国で済まず全地球規模で不謹慎…

列外.『東離劍遊紀』

脚本:虚淵玄(http://www.thunderboltfantasy.com/) 本年、純粋に娯楽作品として接した中ではもっとも熱中した番組かも知れない。仮面ライダーの次は台湾の浄瑠璃みたいなもの(布袋劇という)に手を出すとか、虚淵の引き出しの広さは予想以上。登場人物が…

10.TVドラマ『精霊の守り人』脚本:大森寿美男

脚本:(http://www.nhk.or.jp/moribito/) とりあえず、やっと日本で「ファンタジー物=西洋風でないといけない」の呪縛を脱して、日本人の役者が演じて違和感ない作品がメジャーな形で放送されたことに喝采。久々に松田悟志の派手なアクションが観られたの…

9.映画『バットマンvsスーパーマン』

監督:ザック・スナイダー(http://wwws.warnerbros.co.jp/batmanvssuperman/) アメコミヒーローへの関心は低かったが、町山智浩による原作の紹介が興味深かったので観賞。当然「ただの人間のバットマンがどうスーパーマンと戦うんだよ?」と思っていたら、…

8.映画『帰ってきたヒトラー』

監督:デヴィッド・ヴェンド(http://gaga.ne.jp/hitlerisback/) 独裁者を生むのは民衆――というよくできたお話。ラストシーンでは現代ヨーロッパの排外デモが1930年代になぞらえられるが、ふり返ってみると、2010年代ではなく1960年代でも1990年代でも社会…

7.ルポ『インド独立の志士「朝子」』

笠井亮平:著(isbn:4560084955) 第二次世界大戦中、日本やドイツと連携していたチャンドラ・ボースらインド国民軍の義勇兵の顛末。インド国民軍の婦人部隊では17歳の女の子が隊長で大尉とか、ガンダムか何かのアニメみたいな話だが、動乱期の革命軍ではこ…

6.評論『「反戦・反原発リベラル」はなぜ敗北するのか』

浅羽通明:著(isbn:448006883X) 本書は左翼批判というより、動員が目的化した方法論の批判、「デモなどやらなくても政治が変われば結果良し」という話。その選択肢には、ロビー活動、外国勢力を引っ張り出す、ストライキなどのほか、究極的には暴動やテロ…

5.ルポ『戦争中の暮しの記録 保存版』

暮しの手帖編集部(isbn:4766001036) 本物の戦争経験世代が次々と亡くなる中、大東亜戦争の大義だの大局視点の政治思想論ではなく、庶民の実感として戦争はどうだったという視点は急速に忘れられつつある。本書は、NHKの朝ドラマで注目が集まった花森安治の…

4.映画『この世界の片隅に』

監督:片渕須直(http://konosekai.jp/) 『あまちゃん』の頃から、能年玲奈(のん)は兵庫県出身と聞いて、いずれ関西弁キャラを演じて欲しいと思っていた。広島は兵庫の2つ隣だが、劇中の広島弁の自然な上手さに舌を巻く。この人、日本全国どこの田舎娘を…

3.『シャルリとは誰か?』

エマニュエル・トッド:著(isbn:4166610546) この人、いっけんリベラル派のようでドイツ人には口汚いところとか微妙に性格が悪いが、着眼点はあなどれない。 伝統的宗教(カトリック)が排外主義の温床ではなく、むしろ「ヨーロッパ人でもアフリカ人でも同…

2.『ヘイトフルエイト』

監督:クエンティン・タランティーノ(http://gaga.ne.jp/hateful8/top/) 3時間近い上映時間がまったく退屈に思えなかった快作。ラストで主要登場人物は全員ろくでもない最期を遂げるというのに、一番激しく対立していた南部出身の白人と北軍の黒人兵が仲良…

1.映画『シン・ゴジラ』

監督:庵野秀明(http://www.shin-godzilla.jp/) なんか、2年ほど前に書いたこの文章(http://d.hatena.ne.jp/gaikichi/20140611#p2)が、結果的に本作品の予告みたいになった気分。 とりあえず、仮面ライダーとかウルトラマンみたいな長期人気シリーズが、…

2016年最後の挨拶とか年間ベストとか

申し訳ありません、年末年始は仕事が詰まってるんで今年のベストは簡単に済ませます。 というか、本年は無駄に忙しく仕事と関係ない読書とか映画観に行ったりとかの余裕がほとんどなかったので、実際に内容も薄いです。 1.映画『シン・ゴジラ』監督:庵野秀…