電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

カミーユ青春の地獄めぐりの季節

『Z GUNDAM HISTORICA』07号「永遠のフォウ」(講談社)発売(isbn:4063671895)。
今回もエピソードガイドの図とキーワードコラムのほか、コラム現実認知RealizingZで、「アクシズ全体主義・カルト宗教の空虚な荘厳」を、キャラクターガイド星々の群像で、クロストーク「ロザミアが見せる「妹萌え」の闇」などを担当。
なお、コラム現実認知RealizingZの文中で触れた東京都墨田区の某ホールとは、当然これです。
今回はTVシリーズ29〜36話という、ジェリドは特攻するは、アクシズが出たと思ったら、地球へ行ってフォウと再会、とか、一番変転目まぐるしい時期を扱い、『Zガンダム』のストーリー自体、政治対立だか個人の対立だかワカラン話になってくし、人物関係図はついに20人を網羅! もう書いてる方がわけわからんぞ。
10月29日公開予定の劇場第二作『機動戦士Zガンダム 恋人たち』では、あの人とあの人が親子となってたり、あの人があの艦に来た裏事情が語られたり、あの事件はあの人の独断だったと描かれたり、人物、組織関係がかなーり説明補完されてますが、その予習の意味でも、ぜひご一読くださいませ。
今号の見どころは、まず表紙、この意外なアングルは編集部スタッフ一同にも好評!
3ヒロイン揃い踏みの「星々の群像」は、前回わたしが、ジェリド=犬/ヤザン=獣、にこだわったのに対し、東雲明日香女史が、各ヒロインを花になぞらえてます。
フォウはチョウセンアサカオ(キチガイナスビ)にしようと言ったら大却下されました、ちぇっ(←当然だ!)。
関係ないけど、フォウといえば4、4といえば「クワトロ」も4だ、今さらだけど。
先日「仮面ライダー響鬼」のヒビキさんと明日夢君は、クワトロとカミーユのうまくいった版か? と書いたが、よく考えると、師匠(兄貴)分のヘタレ具合は、むしろ「仮面ライダー剣」の橘さんと陸奥君に似てるかも知れない、と気付く。
すると、カミーユが(シロッコにでも唆され?)フォースの暗黒面に落ちて、fateのセイバーのように黒化してクワトロをぶっ飛ばし、その後(フォウに敗れて叱咤され、とかで)元に戻る、なんて展開も面白いかも……と、わけのわからん妄想をしてしまった。

きゅうりとキゥイ

なお、今回「星々の群像」クロストークでは3ヒロインのうちロザミアについて触れましたが、当初はフォウとファについて書いてました。
で、ボツになった原稿、他に生かすあてもないので、ここに掲げておきます。

●黄緑色のアレ
 1980年代前半、胡瓜は当然ありふれた野菜だったが、似た名前のキゥイはまだ田舎では珍しい果物だった。
 胡瓜は毎日食うようなケの食べ物で、キゥイは遠足のお弁当のデザートに入ってるようなハレの食べ物だった。胡瓜とキゥイのように少し名前の似ているファとフォウの位置づけも、その関係に似ているかも知れない。
 すなわち、カミーユにとって、ファは日常を象徴するヒロイン、フォウは外の世界、大人の世界を象徴するヒロインということだ(特に、富野監督の小説版Zでは、カミーユはフォウはファと違って顔がアダルトな感じなのが良い、と思っている)。実はこの構図、ファーストガンダムでの、アムロにとってのフラウとララァ以来伝統で、Vガンダムシャクティカテジナも当初この構図に見えた。
 外の世界、大人の世界を象徴するヒロインとは結局死別とか断絶を味合わされて少年は大人に……というのがパターンなのだが、一方、家に押し込められた日常側のヒロインは、子供を押し付けられて母親役を担わされる。
 出番は少ないが印象が鮮烈なフォウに対し、ファは当初目立たなかった。彼女のキャラが立ち出すのはシンタとクムが登場して以降だ。実際、メタスで出撃していたファがシンタとクムの危機にそれを察知して舞い戻ってくるのは名場面。
 しかし、シロッコとの最終決戦で、死んだフォウやロザミアやエマやライラまでカミーユに力を貸すのに、そこにファはいないんだよなぁ。でも、その後のカミーユの面倒を見たのはファなわけで……キゥイはビタミン豊富でも酸っぱくてそればかり喰えん。胡瓜にも感謝しろ。

こう書くと、実際「仮面ライダー剣」での、レンゲル睦月君をめぐる、幼馴染のガールフレンドと、雌豹アンデットの姐さんの対比も、構造が似てると言えば似てるなあ……意外。