2012年最後の挨拶とか年間ベストとか
正直に申しますと、本年はいろいろとサボりましたが、暇な時期には頭の中身を増やすように心がけたつもりです。でも順位を考えるのは難しい。ジャーナリズムとエンターテインメント、それも自分の個人的オタク趣味に類するものと全時代全世代向けのものを同列に語るのは容易ではないというか……。
それでも頭を刺激したインパクトで並べるとだいたい以下の通り。
1&2.評論『評伝 宮崎滔天』『北一輝』渡辺京二
3.ルポ『ネットと愛国』安田浩一
4.ルポ『ヤクザと原発』鈴木智彦
5.ルポ『原発アウトロー青春白書』久田将義
6.評論『時間ループ物語論』浅羽通明
7.映画『楢山節考』監督:木下惠介/今村昌平
8.エッセイ『島に免許を取りに行く』星野博美
9.漫画『新ナニワ金融道 銭道立志編』青木雄二プロダクション(11〜14巻)
10.漫画『ドリフターズ』平野耕太
(列外)
0.東京都現代美術館「特撮博物館」
3.ルポ『ネットと愛国』
安田浩一:著(isbn:4062171120)
在特会をはじめとするネット右翼団体・活動家を追ったノンフィクション。
4&5.ルポ『ヤクザと原発』『原発アウトロー青春白書』
鈴木智彦:著(isbn:4163747702)
久田将義:著(isbn:481302176X)
かつて、明治の殖産興業の時代から昭和の高度成長の炭坑には、ヤクザの影があった(九州の筑豊とか典型)。作業員の手配や、事故が起きたときゴネる人たちを黙らせるためだ。この図式は現代の原発も変わらない。
6.評論『時間ループ物語論』
浅羽通明:著(isbn:4800300185)
本年末は急に『週刊文春』で取材される側になってしまった浅羽先生。真面目な仕事もしてないわけではない。
8.エッセイ『島に免許を取りに行く』
星野博美:著(isbn:4797672382)
本書は「40過ぎた文筆業の女が自動車免許を取る」ただそんだけの話である。
9.漫画『新ナニワ金融道 銭道立志編』
青木雄二プロダクション:編著(isbn:4594607330)
青木雄二亡き後もスタッフの手で続くシリーズの一篇で、帝国金融の設立者・金畑金三の青年期の話。
10.漫画『ドリフターズ』
平野耕太:著(isbn:4785934077)
剣と魔法の異世界に飛ばされた志村やいかりやがドラゴンや巨人と戦う話……ではない。
葦原骸吉が選ぶ2012年度の「空気読まない大賞」
日本では「空気読め」が正義らしい。そこでへそ曲がりの当方は、あえて空気を読まない蛮勇の英雄を表彰するとともに、空気の奴隷をさらす(2011年版はこちら)。
空気読まない大賞(栄誉部門)
「生活保護受給者は全員サギだから死んでオッケー」が世論の空気となった本年、となれば、栄誉ある空気読まない大賞のほうはもう、noiehoie氏しかおるまい。
https://jp.twitter.com/noiehoie
わざわざ一個人がツイッターで資金提供を呼びかけ「制度を改正するために個人を攻撃する必要はありません。」と新聞広告を出してのけたのだから恐れ入る。
「こんなことに使う金があれば困窮者に回せ」というツッコミが入りそうだが、この壮大な試みはインターネットの歴史に残る前例となるだろう。
http://togetter.com/li/336869