電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

きゅうりとキゥイ

なお、今回「星々の群像」クロストークでは3ヒロインのうちロザミアについて触れましたが、当初はフォウとファについて書いてました。
で、ボツになった原稿、他に生かすあてもないので、ここに掲げておきます。

●黄緑色のアレ
 1980年代前半、胡瓜は当然ありふれた野菜だったが、似た名前のキゥイはまだ田舎では珍しい果物だった。
 胡瓜は毎日食うようなケの食べ物で、キゥイは遠足のお弁当のデザートに入ってるようなハレの食べ物だった。胡瓜とキゥイのように少し名前の似ているファとフォウの位置づけも、その関係に似ているかも知れない。
 すなわち、カミーユにとって、ファは日常を象徴するヒロイン、フォウは外の世界、大人の世界を象徴するヒロインということだ(特に、富野監督の小説版Zでは、カミーユはフォウはファと違って顔がアダルトな感じなのが良い、と思っている)。実はこの構図、ファーストガンダムでの、アムロにとってのフラウとララァ以来伝統で、Vガンダムシャクティカテジナも当初この構図に見えた。
 外の世界、大人の世界を象徴するヒロインとは結局死別とか断絶を味合わされて少年は大人に……というのがパターンなのだが、一方、家に押し込められた日常側のヒロインは、子供を押し付けられて母親役を担わされる。
 出番は少ないが印象が鮮烈なフォウに対し、ファは当初目立たなかった。彼女のキャラが立ち出すのはシンタとクムが登場して以降だ。実際、メタスで出撃していたファがシンタとクムの危機にそれを察知して舞い戻ってくるのは名場面。
 しかし、シロッコとの最終決戦で、死んだフォウやロザミアやエマやライラまでカミーユに力を貸すのに、そこにファはいないんだよなぁ。でも、その後のカミーユの面倒を見たのはファなわけで……キゥイはビタミン豊富でも酸っぱくてそればかり喰えん。胡瓜にも感謝しろ。

こう書くと、実際「仮面ライダー剣」での、レンゲル睦月君をめぐる、幼馴染のガールフレンドと、雌豹アンデットの姐さんの対比も、構造が似てると言えば似てるなあ……意外。