電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

全体小説を志向する娯楽作家

と、いうわけで、別冊宝島高村薫の本』が刊行。
http://tkj.jp/bessatsu/4796638857/
巻頭の爆笑問題太田光インタビュと「七つのキーワードで読み解く高村薫 『宗教』」ほかを畏友のアプレ文筆家、奈落一騎氏が、「七つのキーワードで読み解く高村薫 『職業』」をわたしが執筆してますんで、まあ興味のある方はどうぞと宣伝。
で、書店に行くと、この本と並べて、新潮社の『警察小説大全集』というムックが置いてあって、こっちにも高村女史が登場してて「なぜ警察小説を書くのをやめたか」という講演録が載ってるのだが、これが意外に興味深い。
――というか、筆者の意図せぬ論点をわたしが勝手な拡大解釈で読み取ったわけだが、つまり、かつての江戸川乱歩に代表される戦前の探偵小説は全体小説を目指した物だった、ということが言えるらしいのである(高村自身は「全体小説」という言葉使ってないのだが)。