電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2005-01-01から1年間の記事一覧

それでは皆様よいお年を

長年、畏友河田拓也(ばくはつ五郎)&奈落一騎と一緒に、ライター仲間集団「線引き屋」Webサイトというものをやってましたが、この度、それをひとまず閉じることと相成りました。 これは、「線引き屋」Webサイト自体がこの一年くらいちっとも更新せず有名無…

時間の止まった時代

永瀬氏のインタビューからは、ファーストガンダムのブームが多くの若手アニメクリエイターを育てた事実、『ガンダムセンチュリー』*1では、当時としてはまだ「たかがアニメ、子供のオモチャだろ」という位置づけでしかなかったガンダムを、既存の日本の娯楽…

さらば機動戦士Zガンダム(←「まだだ、まだ終わらんよ!」)

『Z GUNDAM HISTORICA』11号「宇宙を駆ける」(講談社)発売(isbn:4063671933)。 TVシリーズ版『機動戦士Zガンダム』プレイバックもこれで完結。 わたしは毎度のエピソードガイドの図とキーワードコラムと、コラム現実認知RealizingZで、「グリプス戦役…

1985-2005

断絶と連続

さて、どうも最近、わたしのこの日録は、差別が好きな人には嫌われ、反戦が好きな人には好かれているらしいが、誤解を恐れずに述べておくが、わたしは「大東亜戦争は必然だった」という姿勢を取っている。 戦争自体の是非などといえば、そんなもん当然平和な…

『男たちの大和』をより深く鑑賞いただくために……

12月に入って、なんか日刊に近いペースで更新してるが、今年最大最後の仕事が完成。 「表現者」別冊『男たちの大和 コンプリートBOOK』(イプシロン出版企画)刊行。 12月17日から公開の映画『男たちの大和 YAMATO』の公式ガイドブックである。 わたしは本書…

男たちの「日本の戦争」

中身スカスカのプロパガンダ 切れば血の出るプロパガンダ

『映像の20世紀』と同時に友人にもらった昔のNHK特番の『ヒトラーと6人の側近たち』を観る。ゲッベルスの講演でのプロパガンダの手法が詳しく解説されていた。 広大な密室空間の公会堂に集められた何千人もの聴衆、はじめは戦死した女子供とかの感傷的な話…

一週間遅れの後出しツッコミ

先日、畏友河田(ばくはつ五郎)と、先週末にTV朝日でやってた、山田太一ドラマの『終わりに見た街』の話になる。 わたしは23年前の旧作版をなんとなくラストシーンだけ知ってたのでナメて斜め見にしていたのだが、戦時下にタイムスリップした現代家族のうち…

早すぎた表現

『Z GUNDAM HISTORICA』10号「ゼダンの門」(講談社)発売(isbn:4063671925)。 わたしはいつものエピソードガイドの図とキーワードコラムのほか、コラム現実認知RealizingZで、「現実世界を蝕む「強化人間」チャイルド・ソルジャーの悲劇」を、キャラクタ…

踊る者 踊らされる者

必要悪としての密室政治?

皆もう忘れかけているだろうが、わたしは昨年「イラク人質(俗称「三バカ」)事件」で一番得をしたのは、株式会社ウェディングであったのではないか? と思っている。昨年3月、件の人質事件が起きる前、ネット世論では、自社に関するGoogleの検索結果情報を…

「これでは道化ではないか」(byシャア・アズナブル)と言いつつ……

サークル「惑星開発委員会」の同人誌『PLANETS』というもので、インタビュ記事に参加しました。 12月30日のコミックマーケット69で販売されます(定価\1,000) 告知ページの方では、惑星の自称「善良な市民」君が、骸吉ごとき無名の書き手を使ってもインパク…

補足の蛇足:百合萌え腐男子宣伝大臣

そういえば先日ワイマル文化とホモソーシャルの話を書いたが、それ関連でとっておきのバカネタをひとつ。 映画好きだったナチス宣伝部長ゲッベルスは、かつて『制服の処女』を大絶賛している(これは、平井正『ゲッベルス』(中公新書)に引用された、彼の19…

ムカつくのは遠くの金貸しより近所のよそ者

ついでに、この「半径30メートルがその人の世界」論を先日のワイマール共和国話にこじつけて補足。 ワイマル共和国時代のドイツにアメリカ大衆文化が大量流入したことは先にも触れた。 WW1(第一次世界大戦)から1920年代、ハリウッド映画をはじめとするアメ…

続・世界の広さはどこに生まれたかで変わる

さて、以前世界の広さはどこに生まれたかで変わると書いたが、この仕事でも、神話って、結局その土地の風土を反映した世界観なんだなあ、と(考えてみれば当たり前のことを)再確認させられた。 例えば、エジプト神話は、緑豊かなナイル流域と、その外に広が…

そして神話へ

PHP文庫『「世界の神々」がよくわかる本』東ゆみこ監修(isbn:4569665519)刊行。 わたしは ・Part6:エジプト神話 ・Part7:クトゥルー神話 のほか「マヤ・アステカの神々」などの小コラムを少し担当。 この他、畏友・奈落一騎ほかのメンバーが、ギリシャ神…

ワイマル共和国時代のドイツでナチスを支持した青年層と、昨今の日本で嫌韓に欲情する青年層の、相似点と相違点

以前一頃、ナチス前夜のドイツ、ヴァイマル共和国時代にまつわる書物を集中的に読んでた時期がある。最近、デートレフ・ホイカート『ワイマル共和国 古典的近代の危機』(名古屋大学出版会)というのを見つけて読んだが、筆者がドイツ人の割に公式的見解でイ…

ネタからベタへ

2ヶ月ばかり前 某畏友の証言「AMAZONで『マンガ嫌韓流』買ってる人の『この商品を買った人は、他にこんなものを買ってます』ってのが、アニメの声優のCDとかばっかり」 と書いたら、AMAZONに苦情でも入ったのか、AMAZONで本を買った人が、他にどんな本を…

古き良き厄介な戦前(プラス白々しい予告)

何度も繰り返し書いてきたが、今年は仕事のため、日本の戦争映画ばかり観てきた。 PHP文庫『名将ファイル 秋山好古・真之』(isbn:4569664504)はその成果の「一部」が反映されたものだが、メインの成果の方があと一週間余り後に発刊になります。お待ちくだ…

信じるものを喪った時代

梶原一騎が生まれたのは昭和11年(1936年)終戦時は9歳のはずだ。 今年、映画『男たちの大和』記者会見で、亡き梶原と同年輩の仲代達矢は、かつての自分は典型的な軍国少年だったが、昭和20年8月15日を境に大人たちは手のひらを返したように変わった、裏切…

「いい奴ってのは、死んだ奴だけさ」

結局『愛と誠』の大賀誠は、早乙女愛やその周囲の人々を守るため、彼女の父を破滅させかけていた黒幕政治家に迫り、偶然同じ場に現れた砂土谷の凶刃に倒れる。 これは、社会的な「無用者」が、自己犠牲によって人々の命を救い死花を咲かせて散る、という、黒…

奇説:梶原一騎のカミーユ・ビダン

梶原一騎ファンからも富野由悠季ファンからも石投げられそうだが、今しばらく「カミーユ≒大賀誠?」説にお付き合い頂きたい。 『愛と誠』の主人公、大賀誠は、幼児期、ブルジョワ令嬢の早乙女愛をかばって額に傷を負い、その怪我が重症となったため家庭が崩…

青春の地獄めぐりの後に

『Z GUNDAM HISTORICA』08号「ダカールの日」(講談社)発売(isbn:4063671917)。 例によって、エピソードガイドの図とキーワードコラムのほか、コラム現実認知RealizingZで、「ハマーンと混迷の時代の女性指導者」を、キャラクターガイド星々の群像で、コ…

なんとなくブログ開設2周年

読みは「よしふる」と「さねゆき」です

PHP文庫『名将ファイル 秋山好古・真之』(松村劭:監修)発売(isbn:4569664504) わたしは ・第一章「秋山兄弟の生きざま」 ・第四章「30分でわかる、日露戦争ダイジェスト」 ・終章「秋山兄弟資料館」の関連人物解説の一部、ブックガイド等を担当 今年は…

天気晴朗ナレドモ波高シ

凄いぞ!小松左京&角川映画、予言的中か?

地球温暖化のおかげで雨が止まない。ってゆうか10月なっても生ぬる過ぎ(暑くも寒くもないが)。それで将来日本も亜熱帯に入る事になり、熱帯性の伝染病が蔓延するかもとか言われてるらしい。 先日『復活の日』の話を書いて、スペイン風邪がどうの、とか言っ…

求む! シャレと倫理観のわかる広告代理店企画屋

郵政民営化の裏にアメリカによる金融自由化の圧力、という話はよく聞くが、昨今の消費者金融のカジュアル化にその先触れが、と指摘する声はあるのか? わたしはさんざん「消費者金融のCMはけしからん」と書いているが、彼らも企業だ、宣伝はせねばなるまい。…

今日では理解不能な、右翼とパンクとヤクザが相性良い理由

相変わらず仕事のため戦争映画のヴィデオやDVDばかり観ている。 で、前から、新宿TSUTAYAの日本の戦争映画のコーナーに置かれていて、氣になってしょうがなかった『特攻任侠自衛隊』ついでに借りてくる。 ビデオパッケージを見て、これはとんでもない怪作で…