電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2005-01-01から1年間の記事一覧

目くそ鼻くそを永遠に探す

なんだか上記の、嫁と姑がどうしてもあげつらい合う構造とも関連しそうな気がするのが、この指摘。 人間ホンネを臆面もなく語ることを許されたら、まず食欲や性欲や金銭欲といった物欲(お好みならば下部構造とも)の方に行くというのは甘い考えで、現実には…

今は本当に21世紀ですか?

中学生ぐらいの頃、地球上で一番理解不能で、科学と進歩の21世紀には死滅していなければ絶対におかしい物、と思われてたのが、日本の家族制度における「嫁と姑の確執」というものだった。 いや、笑うな、俺は本気だった。今もだ、「嫁と姑の確執」ぅ? なん…

破滅は緩慢なものほど恐ろしい

先週の深夜、たまたま12chで『復活の日』をやってたんで、仕事しながら見てたが、ああ、当時は、細菌やら核兵器やら、こういう終末論イメージ隆盛だったなあ、と、ガキの頃の世代的恐怖感を思い返させられた。 劇中、漏出した細菌兵器による疫病が「イタリア…

きゅうりとキゥイ

なお、今回「星々の群像」クロストークでは3ヒロインのうちロザミアについて触れましたが、当初はフォウとファについて書いてました。 で、ボツになった原稿、他に生かすあてもないので、ここに掲げておきます。 ●黄緑色のアレ 1980年代前半、胡瓜は当然あ…

カミーユ青春の地獄めぐりの季節

『Z GUNDAM HISTORICA』07号「永遠のフォウ」(講談社)発売(isbn:4063671895)。 今回もエピソードガイドの図とキーワードコラムのほか、コラム現実認知RealizingZで、「アクシズと全体主義・カルト宗教の空虚な荘厳」を、キャラクターガイド星々の群像で…

少年を大人にする……はずなんだけど、失敗したもの

怪奇大洞窟 クトゥルー様の社

ちょうど丸一年前、はからずも「武蔵野シベリアの多摩グラード」を見物したが、先日いきなり、また取材と称して聖蹟桜ヶ丘(東京都日野市)などという場所に行ってきた。ハッキリ言って、友人が住んでるでもなし、こんな機会でもなければ行かないわな。 で、…

さらばタチコマ新たなる旅立ち完結編

今さらながら、深夜再放送が終わった『攻殻機動隊SAC2』。序盤から感じていたが、やっぱり、私的個人的にはパート1の方が俄然良かったと思える。 パート1は、前半、姿なき「笑い男」の事件をめぐる連続ストーリーだけでなく、一話完結の様々な単発事件があ…

少女にツッコんでもらいたい男たち

「読後感が凄く悪い」と念を押されて読んだのが、歌野晶午『女王様と私』(角川書店)。 サエないロリコンの中年オタク男が女子小学生に振り回されれて事件に巻き込まれるんだが、実は……という筋立てだけ聞いて、島田雅彦の若い頃の短編『スピカ 千の仮面』…

美しいもの「も」ある

――ふと気付いたら、またなんか気が滅入るようなことばかり書いてる。 だから、上で少し触れた『女王の教室』最終回の話。プロ教師の会みたいに、戦後民主主義的教育的キレイゴトを全否定してたら、結局ただのニヒリズムに行き着いてしまって、愚民を嘲笑うだ…

某畏友の証言「AMAZONで『マンガ嫌韓流』買ってる人の『この商品を買った人は、他にこんなものを買ってます』ってのが、アニメの声優のCDとかばっかり」

わたしの発言ではない。某畏友の発言です。

かわいそうなひと

以前、高学歴強姦集団スーパーフリーの和田とかは「自分らこそネアカ、イケてる、カッコイイ、自分らについて来れない奴はダサい、クラい」というノリ強要ファシズムだから許せん、みたいなことを言ってたら、魂の(退廃)貴族たる畏友奈落一騎君から「スー…

誠心誠意の営業スマイルする倫理の退廃者

資料集めのため図書館に行き、ちょっと児童書コーナーを覗く。原爆やら空襲やら七三一部隊の蛮行やら「戦争はいけません」教育系の書物がいろいろ――しかし「戦争はいけません」って、とりあえず正しいんだろうけど、大きすぎて、現実の日常において自分は何…

中途半端な忠犬

『Z GUNDAM HISTORICA』06号「ゼータの鼓動」(講談社)発売。 予告どおり、キャラクターガイド「星々の群像」コーナーで、ティターンズきってのヘタレ犬ジェリド・メサと、ティターンズの野獣系ヤザン・ゲーブルをどどーんと概説。 ……まあしかし、ジェリド…

半端な悪と人間らしさ

人に歴史あり

『人間関係がニガテでもうまくいく天職ガイド』(廣済堂)(isbn:4331511170)が、発売後一週間そこいらでGoogle検索350件もヒットしやがる。出足だけ言えば『架空世界の悪党図鑑』(講談社)より注目度高くない?(一応、実用書だからね) しかし反面「なん…

大いなる矛盾

『SAPIO』最新号を読むと、小林よしのりが、沖縄での反ヤマト世間の強さを同調圧力だと難じている。うーん、それって、上原正三氏からも聞いたけど、沖縄は特に昔ながらの地縁血縁が強いってことだろ、だからそーいうのこそが正しい日本の田舎なんだって。沖…

季節遅れの夏の港(まだ暑いが…)

『Z GUNDAM HISTORICA』05号「ホンコン・シティ」(講談社)発売。 今回はわたしの執筆担当は少なく、いつものエピソードガイドまわりの他、キャラクターガイド「星々の群像」アムロ&ベルトーチカ編に、クロスレビュー「戦災孤児娘は良妻賢母の夢を見たか」…

秋到来まであと2週間の辛抱

古城とか血の薔薇とか没落貴族とか

ちなみに奈落君から、わたしはちっとも空想力が幻想世界に飛翔してないと断言された。 確かに『ナルニア国物語』の予告編見て「異世界に行けるとして、行ってみたい世界は?」と想像しても「夏でもネクタイ、靴下、革靴を着用しなければならないという非科学…

一人のホルスト・ヴェッセルも生まれない平成日本

福岡在住の先輩と電話で喋ったら、役所の法律相談所に行くと、20歳そこいらの若者が自己破産の手続きに来ていて、そのくせ携帯電話で母親に「今日のカラオケの集まり、絶対行かんといけんったい」などとほざいていたという。おおかたカード破産の類だろうが…

その後の錬金術師 ヴァイマール十番勝負

映画ハガレンはナチス前夜ワイマール共和国時代のドイツが舞台、というので「これは見なければ!」と思ってたが、終映間際でようやく新宿ピカデリー行ってきた(狭い)。 やはり弟可愛いよ弟ハアハア……じゃなくて、「こっちの世界」の方での弟の空似のアルフ…

『悪魔の辞典』スパムメール常套用語編

【Re:】 なぜか自分から出した覚えはまったくない。 【○○さんからご指名が入りました】 一人で何万人指名しているのだろうか。多重人格か? 【○○時間後に自動的に解除になります】 なぜか決まって、その○○時間を過ぎてもまた同じメールが来る。 【あなたの地…

細川茂樹の無法松

先日、久しぶりに会った畏友が「『仮面ライダー響鬼』は無法松だよ。だって、太鼓叩いてるし」と話してて、言い得て妙だと膝を打つ。なるほどヒビキさん、吉岡大尉の遺児を影から見守る父親代わりのイメージに似てなくもない。 実は、わたしはキャプテンハー…

廣済堂出版『人間関係がニガテでもうまくいく天職ガイド』刊行!

(isbn:4331511170)ハッキリ言って、広義のオタクタイプ人間のための職業ガイドである。 「自分は引きこもりで〜」、とか、「ニートで〜」、とかいう方に、いや、キミでもこんな仕事はできるかもしれないぞ、どうかね? と前向きな提案を試みる書を目指した…

働かざるもの食うべからず

【覚え書き】仕事のためもあり、最近観た戦争映画とか

『英霊たちの応援歌 最後の早慶戦』(1979年/東宝/監督:岡本喜八) 「大学生」自体がエリートだった時代の話なんで、軍隊嫌いの大学生たちは、なんか偉そう 兵学校での訓練シゴキの描写は喜八だからマンガ的だが、その裏にマンガ的にでもしなきゃ描けない…

読者を一切傷つけず「正義の被害者」気分にさせてくれる漫画

発売直後からベストセラーと言われつつどこの書店にもなかった『マンガ嫌韓流』が、新宿紀伊国屋書店とかにも入るようになったので、ようやく一応読んでみる。 刊行前、この本の噂を耳にしてから危惧していたのは、「ひょっとして雁屋哲原作の『蝙蝠を撃て!…

議院内閣制って非効率?

先日、なんとなく後藤田正晴の回顧録『情と理』ってのを読んだ。 以前、丸二年近く前に書いた、中曽根と後藤田の違いがわかった気がする。 後藤田は戦前の内務省官僚あがりで元警察長官だけあって、ガチガチに管理側の人間のはずで、実際、60年安保の時だっ…

糞狂い九頭龍様、僕らを連れてって〜

猛暑が続く中、ゆえあって平日昼間からラヴクラフトやらのクトゥルー本ばかり読んでいる(別に納涼が目的ではない)。 ラヴクラフトは幸か不幸か第二次世界大戦が始る前に死んだが、10年ばかり前に出た『幻想文学別冊 ラヴクラフト・シンドローム』などによ…