電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2005-01-01から1年間の記事一覧

良い子は手本にするものではありません

月刊『ランティエ』長月号が戦争特集をやってたので立ち読みしてたら、玉川和正氏の「人生のシンクロニシティ」で中江兆民、北一輝、甘粕正彦の三人の人物を取り上げて論じていたのだが、甘粕正彦についてで、なんか覚えのある文章に出くわした。 って、なん…

これが若さか……!

『Z GUNDAM HISTORICA』04号「ジャブローの風」(講談社)発売。 今回は、コラム現実認知RealizngZコーナーを三本同時執筆の偉業(?)達成。 ・エピソードガイドでは、「ジャブローの核爆発とエコロジカル終末観の流布」 ・モビルスーツ開発誌では、「百式…

真夏の夢想――脳内帝国主義

実用書に非実用的な部分を書く役の限界

このブログの読者に受験生がいるとは思えぬが、『法学部受験の総合的研究』発売。河合塾予備校の受験情報誌がライター初仕事だった当方も少し手伝いしてます。 本当は、裁判員制度導入と日本的世間の問題、知能犯レイプ集団「スーパーフリー」の法的言い逃れ…

それにしても「単純すぎる反動」が多すぎる

『TONE』第二号の『電波男』評にも書いたが、「オタク男は本当は優しいんだ」と言いたい気持ちはわかるが、自分から言ったらオシマイだよ。ダンディズムとストイシズムがない。椎名林檎も『歌舞伎町の女王』で歌ってる「♪同情を欲した時に全てを失うだろう」…

そんなに男根原理を自己否定して、じゃあ現実に自ら去勢した奴はいるか?

鹿野瀬氏紹介のササキバラ・ゴウ氏の著作に限らないが、「オタク男は体育会系的な男根原理を否定する」「ボクらは平和的なフェミニストです」と言いたがるオタク男は多い。 まあ、そう言いたくなる気持ちはわかる。だが、わかりやすく鬼畜で悪質な体育会系男…

不在である事が「日本の父」?

要するに、現実の父は側にはいない、その父の影を追って大人の男の世界に入ってゆく、というのが、戦前から王道的な男の子成長物語の典型だったのだ。 思えば、わたしが最も好きな戦時中の映画、坂東妻三郎版の『無法松の一生』は、吉岡大尉の未亡人に密かに…

「戦前は父権があった」って神話じゃない?

杉並のラピュタ阿佐ヶ谷で「戦後60年記念企画 八月十五日、その日まで。」の中の上映作品として『ハワイ・マレー沖海戦』、『太平洋の嵐』などを観る。 『ハワイ・マレー沖海戦』での、少年航空兵学校の場面は、当然、戦時中の映画だから実地取材フィルムな…

10日遅れの後出しツッコミ

トラックバックがつくということは「良かったら読んで下さい。さらに気が向いたらご意見ください」という意味だと勝手に思っているので、(id:kanose)氏の「ARTIFACT@ハテナ系」の http://d.hatena.ne.jp/kanose/20050714 に、ここのところ多忙だったゆえ遅…

女戦士たちよ、暴行男、言い訳男どもを撃ち殺せ!!

『Z GUNDAM HISTORICA』03号「月の裏側」(講談社)発売。 今回はキャラコーナー「星々の群像」が、優等生キャリアウーマン・エマとシャアに構ってもらえなかった哀れな業物女レコアという、歴代ガンダムきってのきついお姉さん二人なので、コラム現実認知「…

たまに更新するとくそ長くなる

『天職事典』(PHP)増刷

宣伝ついで。わたし(佐藤賢二)が執筆参加の職業ガイド本。 これまでこの手の実用書仕事はここでは触れてこなかったが、なんと2000年の刊行から5年間で、確か20刷を超えてるのではないかと思う。 わたしにとっては(小額づつながら)、忘れた頃に印税収入…

必然あるシンクロニティ

『TONE』第2号の戦争特集で『はだしのゲン』についての短評を書いたら、見事なタイミングで『ダ・ヴィンチ』8月で呉智英夫子の連載「マンガ狂につける薬」にも『はだしのゲン』が『拝啓マッカーサー元帥様』と共に取り上げられた。 ゲンと隆太がお手伝いに…

「ガンダムは大人になってから」(by奈落一騎)

ちなみにこの『Z GUNDAM HISTORICA』、『ニュータイプ』など現在のアニメ誌がそうそうやらない、かつての1980年代当時の『OUT』『アニメック』のよーな本音批評&お遊び心を意識しつつ、現代に即して甦らせた編集を目指している。 その理由は、奥付の「edito…

きみも刻の涙を見てくれ

と、いうわけで『Z GUNDAM HISTORICA』02号「黒いガンダム〜怒れる少年カミーユ〜」(講談社)発売。 今回はTVシリーズ第1話〜第5話を概説。 エピソードガイド「Drama & Karma」本文部分を畏友・奈落一騎が担当、キーワード解説、関係図を、わたしが担当…

今日はなんかいかにも零細ライターのブログっぽく

嫌な意味でタイムリーなトピックになっちまった

ちなみにこれも今さらながら、『TONE』第2号でも荻原魚雷氏が吉田満と古山高麗雄の戦争体験交換について触れていたが、『戦艦大和ノ最後』の記述をめぐる論議、存外にネット上では盛り上がってるらしい。 が、中には吉田満って誰じゃ?とまったく知らず「日…

人を個別に見るより属性で見ることが好きな人たち

少し前、タブー無視の過激な言論を売りにしていて、特に朝鮮・韓国・在日批判が売りのあるネットメディアが、在日を自称するライターをメンバーに加えたことがあった。 一見矛盾するようであるが、その意図はとりあえず二種類考えられる。 ひとつは「ホラこ…

体験者だから全部がわかるわけではない

今さらながら7/1放送の朝ナマは激烈に面白かった。 石油確保のためインドネシアに駐屯した元兵士と、そのあと残って独立のため戦った兵士、国民党軍便衣兵の恐怖にかられスパイ容疑の女子供を揚子江に縛って放り込んだ南京戦、ドイツ捕虜はホルスト・ヴェッ…

【架空放談】山守義雄×パプテマス・シロッコ

山守 やあやあ、ちみがチターンズのチロッコ君かえ、よぉ来たなあ。 シロ いえ、どうも、山守先生よろしく(下品で単純そうな男だな……まあ、それだけ手玉には取りやすいか……) 山守 チロッコ君は木星帰りなんだってぇ、苦労したんじゃろぅ シロ ええ。あの木…

この上原作品が凄い

・取材前に上原脚本作品を数本観返したメモから●『帰ってきたウルトラマン』(第一話「怪獣総進撃」) ・アーストロン出現 逃げ遅れた村の娘、下敷きになった祖父の側から逃げようとしない 「おじいちゃんと一緒じゃなきゃやだー!」(そこを郷秀樹が助ける…

上原インタビューこぼれ話少々

・『TONE』第2号の特集タイトルは当所「日本の戦争」だった。 そんで力の入った取材企画書と取材依頼文を書いたのだが、円谷プロ経由で依頼を受けてくださった上原氏は、取材当日の最初のお言葉が「今日は何の取材ですか? ウルトラマンのお話ですか?」で…

「仕事なんだよ」

昨日は渋谷で作戦会議。 ひどく暑い。 渋谷の駅近辺は路上キャッチセールス男でいっぱいだ。 若い女性に声をかけて、高額な化粧品を買わせたり、「モデルになりませんか」と言って高額なタレントスクール(「芸能人の○○さんもここ出身」とか大ウソを言う)に…

ブログは難しい

6月19日の日記が異常に注目されたので、すかさず補論とともに『TONE』第2号を紹介したが(一見こじつけのようだが、書いた通り、実際「日本人は戦前も戦後も隣にいる『みんな』に合わせてるだけだ」という見解は、実際この一連の特集記事の中で考えたこと…

怪獣使いの証言

ちなみに、上記の朝鮮人虐殺のエピソードを元に作られたのが、『帰ってきたウルトラマン』で上原正三脚本の代表作「怪獣使いと少年」だ。 (まさにこの話から書名を取った切通理作『怪獣使いと少年』には大いに触発された)。 『TONE』誌のインタビューでは…

もし「みんな」が殺人を合法としたら?

だから、逆に言えば「みんな」がそれを悪だと思ってなければ、どう考えても一方的ないじめか集団虐殺のような行為が、平然とまかり通ることだって、たまにある。 南京の大虐殺とやらは中共の死者数水増しゆえに虚報説が強いが、じゃあ、関東大震災下で朝鮮人…

余談傍証

話が横道に逸れるが「みんなに迷惑をかけない」問題と関連して、ずっと以前から心の片隅に引っかかっている証言がある。 数年前、少年院の教官をしていた年長の知人に聞いた話では、近年の不良(ヤンキー系ではなくチーマー系だろう)は、傷害事件など起こし…

個々には善人なのが、揃うと凶行になるから頭を抱える

戦争でもJR西日本でも「ノリの強要」で迫ってくるマルチ商法でも「俺がそれに従って欲しい」と言わず「みんなそれに従っているんだから、きみも従いたまえ」という言い方がムカつく。それが「下からのファシズム」を生み出すと書いてきた。 が、ひとつ補足…

戦争を語れば日本人論になり、日本人を語れば戦争論になる

――と、以上のようなことばかり、この一ヶ月ばかり、畏友ばくはつ五郎氏(id:bakuhatugoro)と語り合っていた。というか、畏友五郎氏の仕事上の話を聞いてたら、自然、そんな話ばかりになった。 彼がやってたのは何かというと、笠原和夫脚本『大日本帝国』『…

わたしはこれが戦争当時のみの、遠い昔の話と思わぬ。

極悪レイプサークルだった、スーパーフリーの手口というのは、コンパに誘った女子学生に、座が盛り上がった状態でしこたま酒を飲ませ、泥酔させて行為に及ぶというものだったそうだが、これは「せっかく『みんな』盛り上がってるのに座をシラケさせるなんて…