電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

個々には善人なのが、揃うと凶行になるから頭を抱える

戦争でもJR西日本でも「ノリの強要」で迫ってくるマルチ商法でも「俺がそれに従って欲しい」と言わず「みんなそれに従っているんだから、きみも従いたまえ」という言い方がムカつく。それが「下からのファシズム」を生み出すと書いてきた。
が、ひとつ補足しておくべきと思える重要な点がある。
それは、そのような「下からのファシズム」を作り出している人間も個々にはまったく善良な良い人間だということだ。
27日発売の『TONE』第2号上原正三インタビューでも、その点が繰り返し語られた。
島民に自決を依頼した(命令ではなく依頼だったかも知れぬが結果は同じようなものだ)日本兵も、現在の沖縄で暴行を働く米兵も、家に帰れば良い親父、良い兄貴なのだ。だが、それがそのよーな凶行を起こすのはいかなる心境ゆえか?
同じウルトラマンの脚本家ながら、本土と沖縄の友好的融和を信じようとした金城哲夫とは対照的に、所詮俺は異邦人さ、という視座でやってきて、だから本土もアメリカ軍も一切信用してないだろうか、と思われた上原氏の口から、こうした発言を聞いたというのは、得るところが大きかった。