電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2011-12-23から1日間の記事一覧

(6)2000年代後半 非モテ運動と麻生ブーム

――以降は現在と地続きである。2005年にはオタク受けしやすいアニメ絵の『マンガ嫌韓流』が刊行されて大ヒットし、口真似の元ネタを小林よしのりから山野車輪に取り替える人間が続出した。 ただし一方では、オタクの中でもインテリ層の一部には「左翼=インテ…

(5)2000年代前半 小泉改革の功罪

インターネットの普及初期にも、どこの誰が被差別部落出身だったり在日だと暴露するようなサイトはあったが、ごく少数派のアングラ系サイトだった。 それがゼロ年代前半、小泉純一郎首相のもとで新自由主義が進んでから、ネット世論で少数被差別者への差別的…

(4)1990年代後半 オタクの国粋化と差別のポップ化

1990年代の後半のオタク文化といえば「『エヴァ』バブル」である。1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』のヒット以後、急にスノッブなアニメ評論が増えた。さらに押井守監督の『攻殻機動隊』がアメリカで大ヒットしたとかで「ジャパニメーション」とか、のち…

(3)1990年代前半 戦争観の変化とリベラル左派への懐疑

1989年にはベルリンの壁がなくなり、1991年にはソ連が崩壊し「社会主義や共産主義は一切間違ってました」ということになった。 しかし長期的視野で見た場合、冷戦体制崩壊より1991年の湾岸戦争の方が、オタク文化に影響しているかも知れないという気がする。…

(2)1980年代の「軽薄短小」若者文化とオタク

1980年代に入ると、実際に「おたく」という語句と「いい歳して漫画やアニメやゲームのマニア」というスタイルが生まれる。 その頃にはSFや漫画のマニアも大衆化している。当時は「軽薄短小」の時代と言われた。オタクも基本は享楽文化であるから、とくに思想…

(1)1960〜1970年代の初期SF文化と左翼

「オタク」の語句もなかった1960〜1970年代当時、最初期のSFファンの中には、左翼志向のある人も少なくなかった。 『日本沈没』ほかで有名な小松左京は、元共産党の山村工作隊員である。中村真一郎、福永武彦、堀田善衛による映画『モスラ』の原作『発光妖精…

オタクは右傾化したのか?

先日、今さらネット世論での麻生太郎人気について述べたが、あえて今さらついでに「オタクは右傾化したのか」について考えてみたい。 ハッキリ言って「オタクと右翼・左翼」という話は、それで一冊本が書けるだけの(しょーもない)論題になるが、俺のような…