電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

オタクは右傾化したのか?

先日、今さらネット世論での麻生太郎人気について述べたが、あえて今さらついでに「オタクは右傾化したのか」について考えてみたい。
ハッキリ言って「オタクと右翼・左翼」という話は、それで一冊本が書けるだけの(しょーもない)論題になるが、俺のような泡沫の書き手にそんな原稿を依頼する酔狂な編集者もいないか。
1980年代当時から「右翼とか左翼とかいう語句は将来死後になる」とさんざん言われてきたが、今のネット世論では一向に死語にならない。どーしてもそういう分類をしたがる人がいなくならないわけだ。
結論から言ってしまえば「オタクに右翼も左翼もない。自分の趣味をスノッブに権威づけするため、時代状況によって都合良く、左翼っぽいことを言うオタクと右翼っぽいことを言うオタクがいただけ」というのがわたしの持論だ。
何の文化ジャンルでも、ジャンル自体に右も左もない。たとえば文学者にも、三島由紀夫みたいな右派と大江健三郎みたいな左派がいて、それぞれのファンがいる。映画でも演劇でもロックでも何でも、個々の表現者や個々のファンには右っぽい心性の人も左っぽい心性の人もいる。まあ実際は無党派が圧倒的多数だけどね。
それと同じで、結局「オタク文化が左翼と相性良かった側面/右翼と相性良かった側面」は、見いだそうとすれば双方にあったということだろう。それを検証したい。
(注1:年寄りの話なので無駄に長いです。何度かに分けてお読み下さい)
(注2:この論考は当方一人の世代経験に基づくので穴だらけで不完全です。いずれ他の優秀な方々によって本論考の補完が行なわれることを期待します)