電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

「趣味」だけでつながる関係のもろさ

かつて田中角栄は1970年代のロッキード事件で失脚した後も、地元新潟では絶大な支持を得ていた。地元に新幹線を通すなど露骨な利益誘導の賜物だが、彼が良くも悪くも地元民に愛されたのは、そればかりではなかったようだ。
こんな伝説を聞いたことがある。選挙の時、角栄が農村の支持者のもとを訪れて、わざわざ背広姿のまま泥だらけの田んぼに入り込んで農民の支持者と握手したという……これをクサいパフォーマンスと笑うのはたやすい。が、こういう首から下の行動が伴う形で相手と一緒に汚れる覚悟なくして、本当の共同性が生まれるはずがない。
なんでも麻生太郎が韓国でK-POPはすっかり日本に定着したと発言したら(注:麻生太郎自身がK-POPや韓流好きとは一言も言ってない)、そんだけでネット世論では急に麻生叩きが盛り上がったそうである。

麻生元首相が韓流文化を評価 「ネトウヨ」失望、「2ちゃん」で「祭り」
2011/11/28 19:21
http://www.j-cast.com/2011/11/28114472.html

数年前のネット世論での麻生太郎人気というのは、結局「麻生太郎ローゼンメイデン愛読」という都市伝説から「自分らの好きな物を総理大臣も好き→自分らも権威づけられる」という虫の良い解釈が広まっただけではなかったのか。
政治家がどんなタレントやサブカルチャー作品のファンであるかは、あくまで個人の趣味、好みの問題であって、政策の中身とは一切関係ないだろう。だというのに、ネット世論の麻生ファンはこんなことで簡単に手の平を返すとは、要するに『韓流・K-POP』も『ローゼンメイデン』も等価というわけか。
麻生太郎の本来の地盤の九州北部には、彼を「地元の気前の良い御曹司」と思って好感を持ってる人もいるだろう。かつての角栄新潟県民ほどではないにせよ、そういう地元民たちは、こんな趣味の発言ひとつで手の平を返さないと思いたい。むしろ、趣味の話で手の平を返すような共同性しか持ってない人間は離れてくれた方が良いかもね。
まあ、支持者との仲が口先だけになってるのは、自民も民主も似たりよったりだろう。
おいネットワークビジネスと仲良しの山岡賢次大臣、お前が困っても本気で弁護してくれる奴が出てこないのはなぜかわかるか?