電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

そんなに男根原理を自己否定して、じゃあ現実に自ら去勢した奴はいるか?

鹿野瀬氏紹介のササキバラ・ゴウ氏の著作に限らないが、「オタク男は体育会系的な男根原理を否定する」「ボクらは平和的なフェミニストです」と言いたがるオタク男は多い。
まあ、そう言いたくなる気持ちはわかる。だが、わかりやすく鬼畜で悪質な体育会系男を叩く事で自分も性欲があることをごまかしたり、同情でもって少女に取り入ろうとするが如き志向が透けて見えることもあるのは頂けない。
上記『Z GUNDAM HISTORICA』03号コラムで書いたが、男性社会は競争原理である。これに対し、女性は対人関係(端的に言えば恋愛)が自己実現の目安になっている、らしい。
競争原理というのは簡単だ、腕力が強い、金が多く稼げる、学歴がより高い、そういったことである。
これに対し、オバタカズユキ『会社図鑑』での営業職の裏話などを読むと、女子社員の世界では、単純に数値化し得ない器量や好感度の本当に微妙な差で序列が決まるらしく、それは俺のような男にとっては、ガンダムに一切興味ない人にとってのストライクガンダムインパルスガンダムの違いのように、「外部にはまったく理解不能な差異だが、当人にとっては大問題」なものらしい。
わたしは、体育会的男根原理を非難するオタク男というのも、形を変えて、競争原理で自己実現しようとしている側面はあるのではないか、とは思うのだ。例えば、知識量や、コレクションしてるアイテムの多寡とかね。それが悪いとは言わぬ。
だが、鏡の前に立って、毛も生えた自分の裸を見ろと言いたい。脳内では性別のない無性の清潔な生き物になりたくたって、あんたの思考は既に、男性と生まれた肉体によって構成されているだろう(俺もだ)。その自覚は持て、ごまかすな、と。