電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

たまには恥ずかしい話もしなければ

昨年の年頭に親父の三回忌で九州に行って以来、母と喋ったのはいつだったか覚えてない。が、前々から気になってた話題が二つあったので、遂に母に電話を掛けてみた。
私「で、――子(わたしの妹。大学四年生)の就職、どげんなったね?」
母「それがね、もう50社も受けてダメやったとよ、もう、不景気やのに、有名な会社ばっか受けるけんね、よくわかっとらんのやけど。でから、こないだまで中国に旅行に行っとったとけど、帰ってきたら、一件採用の連絡のあってね。ちょうど、一人女子社員が辞めるけん、その欠員で取ってもらったわ」
私「ああよかったね。で、何の会社?」
母「不動産の会社よ。社員は50人くらいてゆうけど、事業所は5人くらいてゆうてる、女の先輩が一人だけおって、経理やら教えてもらうごとなってるて」
私「ああ、はじめはそげなんでも、だんだんステップアップしてけば、経験になるやろ――で、もう一つ、前から、言っとこうて思うてたことがあるっちゃけど」
母「なんね?」
私「ここ2、3年『おれおれ詐欺』とか、『架空請求』ってなんか凄く話題になってるらしいやん。あんね、まあ、生活困ってるのは事実やけど、わたしは『貯金は無いが借金も無い』ってお父さんの方針通り、ローンとか消費者金融とか、あと、有料のえっちなダイヤルQ2とか、そげなんとは手を出してないから、そんだけ言っとこうと思うて……」
母「ああそう、わかったわ――そういや中津のおばちゃんが入院してからね――」(以下略)
――こう書くと一見、わたしは実家にいる妹や母のことを心配しているかのように思われるかも知れないが、こんなことを話すのは、まったくもって自分のためである。
実際、遠からず母に借金を申し出ねばならなくなる可能性はある、が、もしいまだ妹の就職が決まってなかったらそれどころではない。また、本物のわたしが借金を頼む前に、偽者のわたしがわたしの名前で母から金をふんだくっていたらシャレにならないからである。