電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

なんで「妹萌え」にだけは嫌な違和感があるのか

前にも書いたが、メイドさん萌えとか看護婦さん萌えとか、眼鏡萌えとか、ってのは、別に嫌な感情は無い。それらは職業だったり、外見の記号だ(別にふたなりでも猫耳でも車椅子でも良い)。が"兄と妹"ってのは関係の形、シチュですな。
だいたい、職業とか、何が趣味の子かとかをすっ飛ばして「妹」ってだけで人を見るのって主体性無視(?)やん。かつて呉智英夫子は『封建主義者かく語りき』『インテリ大戦争』ほかで、豆腐屋のおかみさんや女医や武士の妻にはいやな感じはしないが、専業主婦の「団地妻」と言うともうただ「妻」という属性しなくなってるから、それを見る視線がいやらしいものしかなくなると書いてた(そういや夫子には「眼鏡をかけた子の魅力がわからんのか」という名文もあった(笑))。『木更津キャッツアイ』でも塚本高史が「俺のことアニって呼ぶな」と怒ってたではないか(笑)
関係の形、シチュも、同級生とか隣近所とかってのは別に何もいやな感じは無い。あと「妹萌え」って言っても、別に、「(自分は血縁で年長というあらかじめある力関係によって)相手は無条件に自分を慕い従う」っていうムシの良い幻想が一切入ってない、シチュならまあ、納得は出来る。
http://d.hatena.ne.jp/Moondance/20040813#p2
挑発はしてみるもんで(?)、こちらの方とか、貴重な証言をしてくれた。
出発点では兄と妹みたいな感じでも対等な関係志向、とかってなら嫌な感じは無いのだ。
(あと、目下の者を庇護してやる、ってのなら、それはそれで美しい形だとも思う)
逆に考えるとだ、例えば、女の人が、好きな男のタイプは、背が高い人とか、日焼けしたスポーツマンタイプとか指の細い芸術家タイプとか、カリスマ美容師が良いとかサッカー選手が良いとか、と言ってるのは、別にいやな感じは一切無い。
だが、関係の形、シチュについて「お小遣いをくれるパパ」とか言ってたら「何をほざいとるんじゃ!!」と怒鳴りたくもなる。
いや、女の子にも「足長おじさん幻想」みたいなもんはあって、「陰から見守ってくれる年長の異性」が憧れで、更に一歩進んで、いずれその相手と対等な恋愛ができるよう自分も大人の女に成長しようとする――とかいうのなら、全然好感が持てる。