電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

消えるべくして消えた物

あくまで自分用覚え書きだが、11月の、私的に記録しておくべきと思えるトピック。
もう11月の頭の話だが、地下鉄東西線落合駅のすぐ側にあったスーパー「トヨクニ」が突然閉店した。
わたしはもう10年ばかり、東京都中野区の落合上高田――地下鉄東西線落合と西武新宿線中井と新井薬師の三駅の中間に住んでて、そのスーパーは、10年近く時々利用していた。
ここは昔ながらの下町とも郊外とも言い難い実に半端なタダの住宅街で、中野〜高円寺以西にあるような、いわゆる中央線らしいと言われる雰囲気(サブカル系の古本屋やら中古レコード屋やら市民運動左翼臭のするエコロジーな店が多いとか)もまだ始まっていない。
この近辺では、西武新宿線中井駅新井薬師駅、あと少し歩いた先のJR東中野駅の近くには、小さな商店街もあるのだが、地下鉄落合駅周辺には商店街らしきものはない(地下鉄の駅周辺というのはどこもそうなのだろうか?)。
そんな中、件のスーパーは地下鉄の終電(午前1時)頃まで営業ということで頑張ってたわけだが、あんまり客が入ってたとも思えない。客には案外、わたしと同様の、深夜に帰宅する単身者がいたんじゃないかとも思うし、実際いかにもそういう客を当てこんだらしく、店外ではカップラーメンやらレトルト食品の類が、店内では餃子やらしゅうまいやらのチルド食品だのが一個百円ばかりで大量に売ってたりした(自炊の単身者は、ついこういうものを「安いからもう一品」といって買ってしまう)。
ところが、今年に入ってから、その手の薄利多売インスタント小品の類が消え、一袋50円だったうどん、そばの類も60円以上するようになり、明らかに単価を吊り上げるようになった。すると足は遠のく、一駅先の中野ブロードウェイの地下の西友は、近辺に多い単身者向けとしか思えない経営で、11時まで営業して、人参や玉ねぎを1個からバラ売りし、週の月〜水まで三日、百円均一市をやってる、じゃあそっちとかへ行くわな、というものだ。たかがそんぐらい、セコいと笑われるかも知れないが、多くの企業でボーナスカットとも言われるこの長期低空飛行景気のご時世だ、実際11月頭にいきなりこのスーパーが潰れてみると、結局わたしと同じように考えた客が多かったんじゃないか?とも感じる。
閉店は可哀相だが、売上低迷を、薄利多売商品の廃止、商品単価吊り上げで乗り切ろうとするなど、潰れて当然という気もする……だが、こうして孤立した地元店舗は消え、商店密集地にあり薄利多売路線のチェーン店みたいなのばっかになってくんだろうなあ……と。