電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

労働組合M

♪諸君、夢はあるか? あるなら働け、努力だ
 「労働者M筋肉少女帯

いちいちブログで本業の補完ばかりしているというのは、プロとしては誉められた話ではないのだが、また仕事ネタ。
サイゾー』8月号「ニュースソース」欄にちょこっとだけ(1/2ページ)記事書きました。「フリーターも労使闘争の時代!? 日本マクドナルドに労組結成」っての。
とりあえず一次報道としてはこのへん参照↓

FujiSankei Business i. 2006/5/30
日本マクドナルドに初の労組
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200605300020a.nwc

マクドナルド裁判
http://macdnalds.exblog.jp/1408512

わたしがこのニュースに注目したのは他でもない。
近年、フリーターの増加が問題視されてるが、多くの企業が人件費を抑えるため軒並み正社員雇用を減らし、特にサービス業は、ほとんど派遣社員かアルバイトで回っている昨今、アルバイト労働者の増加は必然とも言える。で、現在一番労働条件的に割を食ってるのがそのアルバイト労働者のはずなのだから、いずれその組合組織ができてもおかしくない……と思ってたら、この「マクドナルドに労働組合」のニュースというわけだ。
――が、今回はせっかく機を見て敏に取材に走った割に、組合組織自体できたばっかで、方針も固まっておらず、あんまり突っ込んだ話も聞けなかった。
しかし、続いてケンタッキーフライドチキンにも労働組合結成、というわけで、この動き自体は、ゆるゆる注目しておく意義はあるかも知れない。
それに、マクドナルド自体、今年から24時間営業化を図っているそうで、それに伴う新たな労働問題が発生するであろう事、またそれが組合の議題に挙がるであろう事も必至らしい。
ご存知の通り、マクドナルドは90年代中期から、平日半額などの低価格路線を打ち出していた。が、単価を安くして客回転率は上げたものの、1店舗あたりの人員は変わらず、それで店員が相当酷使されたケースも少なくなかったらしい。
当然、経営側は無駄な人件費は減らしたい、だが、人を減らせば一人当たりの労働量は増え、仕事内容は厳しくなる。今回、元バイトの人に話を聞いた限り、マックでは、午前中、ランチタイム、夕方など、時間帯ごとに「何人で回すか」が決まっているのだが、24時間営業化すれば、深夜の時間帯でのその人数設定などがまた問題になることは確実のようだ。
実は、わたしは10年ちょっと前、実際マクドナルドでバイトしていたことがある。
別のバイトとかけもちで、勤務時間帯は、夜の7時から閉店までの時間帯だった。
新米の下っ端はまず、厨房の中で、フライドポテトなどの揚げ物コーナーに配属される。これが激烈に暑い、冬でも暖房要らずの代わり、夏は油地獄である。
閉店間際の時間帯というのは、片付けと並行してオーダーも取る、しかも人手は少ない、一度、揚げ物油の交換中にオーダー作業やってて手順を間違え消火しきらん内に油を抜き取ったせいで出火しかけた事があった……まあ、これはほとんどわたし個人のミスだが、今後、マックも24時間営業化すれば、深夜シフトなど少人数で回していれば、この手の事故が起きない保障はないのではないか……とも思っている。
――そういったわけでこの問題、またいつか取り上げるかも知れない。
とりあえず、若年労働者の組合離れなんて言われて久しい中、一見して軽薄なサービス業の代表格の如きファストフード業界から新しい運動が出てきたというのは、注目しとく意義はあるだろう。