電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

列外

本年の「順位とかつけたくない、正しく娯楽として消費させてもらった作品」。
平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(←長い…)は、この手のヒーローオールスター物では登場人物が多すぎて散漫になるところを、今回はうまく絞り込んでた。つか、初めて米村正二脚本に納得した。
平成代表の一人に、平成ライダーではもっとも幕切れに影のある『仮面ライダー555』のたっくん(乾巧)を持ってきたのはナイス。そして、再登場した草加雅人がしっかりイヤな奴だったのには観客の多くも喜んでいた模様w
仮面ライダー鎧武』の途中までの評価についてはこちらの日記参照。
http://d.hatena.ne.jp/gaikichi/20140129#p1
一部ではさんざん叩かれた鎧武だが、平成ライダー初期の『アギト』『龍騎』『555』あたりでは、あの程度の鬱展開(仲間のキャラ死亡、裏切り、主人公が人外など)は、さんざんやってたのになあ。
後半、わたしが注目していたシドはあっさり退場したが、物語の舞台の沢芽市を壊滅させてもヘラヘラ笑ってて殴られる戦極凌馬のゲスぶりは、青木玄徳の怪演もあって本当に憎たらしくナイス。主人公の紘汰を裏切った光実が最後は無事救われたのは良かった、というか、でなけりゃ『555』での木場の焼き直しだ。
既に指摘している人も多いだろうけど、「主人公が人外の存在になって去っていく」というラストは、虚淵玄お家芸なのか、『吸血殲鬼ヴェドゴニア』や『まどか☆マギカ』や『PSYCHO-PASS』と同じだな……最初から紘汰という主人公の名はヴェドゴニアの主人公・惣太を思わせると感じていたが、『鎧武』がいろいろな意味でこの10年での虚淵の成長の結果なのかと思うと感慨深い。
THE NEXT GENERATION パトレイバー』は、もはや俺みたいな中年オタク向けサービスとしか思えぬ内容。基本的には旧シリーズで押井守が担当した作品の焼き直しリメイクなのだが、相変わらず東京の廃墟的棄景だの、特車二課内での食事へのこだわりだの「日常の中の非日常」「非日常の中の日常」を描き出す手腕は秀逸。
あとカーシャ隊員役の太田莉菜が美しい。毎回「煙草を吸う女」の見せ方へのこだわりが半端ない。それと『鎧武』にも出ていた波岡一喜の悪ノリ演技がまた良い。