電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

「津山三十人殺しは明治憲法のせい」ですか?

以前も述べたが、わたしは1990年代当時から改憲の必要を意識していたけれど、現在の自民党改憲案に対しては「9条に侵略に対する自衛権を加える以外に余計なことをするな!」と言いたい。
どうも自民党憲法国民の道徳を矯正する装置と本気で思い込んでるらしい。
でもよお、大日本帝国憲法が発布された時には、大多数の人間が「絹布のはっぴ」がもらえると勘違いして喜んだぐらいだぞ。小学校卒が大部分だった戦前の日本人が、憲法の条文を意識して生活してたとかとても思えない。
本当に戦後憲法の導入以前は道徳的だったのなら、なんで津山三十人殺しとか阿部定事件とか死なう団事件とかが起きたんだよ?
仮に戦前の方が道徳的だったとして、それを支えていたのは結局、農村中心の共同体での地縁血縁とか、戦前の社会構造自体に依存したものだったんじゃねえの。
農家や個人商店のような「家業」がすたれて一億層サラリーマン世帯化が進んだ現在、少子化問題に対して昔ながらの家族観の復活を説く愚策にも共通することだが、社会構造自体が変わったのに精神論だけ昔の物が通じるわけはない。
もう何度も何度も書いてることだが、昔と今の良いとこ取りはできないのだ。