電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

戦後民主主義的な戦後民主主義批判者

朝鮮総連やら日教組に威嚇的なテロを行っていた、建国義勇軍 国賊征伐隊の面々が逮捕された。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/kenkoku_giyu_gun/

この事件が起きた直後、何気にネットを覗いたら、例によってチョン叩き好きの人たちが脊髄反射の如く「朝鮮総連の自作自演」と決め付ける論調が飛び交ってたが「おいおい、もし右翼系の人間の行動だったら失礼な話じゃないか」と思ったものである。

わたしは別に建国義勇軍に共感するわけではないが、彼らは爆発物を仕掛けて自分から通報したりと、別に死人の出るほどのテロでなかったのだし、「彼らの手段は間違っていたが、志には共感する」ってな論調があってもおかしくないとは思ったのだが、今のところ、そういう意見もあるにはあるが、それより、なおも「いや、やっぱり逮捕された刀剣友の会の背後に更に北や左翼が云々」といった、苦しいこじつけ陰謀説の方が目立つ。

ある意味ねじれた現象というべきか、ネット上で北朝鮮社民党をやっきに批判する、一見ウヨッキーな論調の人たちに限って、暴力に訴えるような奴は左翼しかいない、自分たち善良な日本人は常にいたいけな被害者だ、という態度を取っている。
そもそも「被害者利権」に拠って立つのが左翼の常套思考のはずなのだが、今や一見して右派的な過激な主張をしている人たちこそ、戦後民主主義の思考の枠に従順なのは皮肉なハナシである。

そもそも、地上の法律的善悪はともあれ、悪い奴は懲らしめる、というのが本気で思想に命を張る人間の思考だろう。
わたしは数年前、薬害エイズ事件安部英教授(戦前の東京帝國大學医学部を出ながら、軍隊でいじめられ学界での出世も遅れて人格の歪んだ、残念なことに遂に知性と人間的品性が合致しなかった爺さん)を若い右翼が死なない程度にバットで殴る事件があったと聞いた時は、法律的には犯罪だけど、憂国の士もいるな、と心の中で喝采を送ったものだ。

かつて戦前に5/15事件や2/26事件が起きた時には、決起将校の減刑嘆願運動が起きた。
テロやクーデター未遂とはいえ、当時の国民には、よくわからないけど、青年将校たちは自分たち窮乏した日本国民のために、悪い政治家や金持ちを懲らしめようと思って起ったのだ、という共感が広まっていたわけだ。

んが、建国義勇軍国賊征伐隊にはそのような広い層の暗黙の共感もなさそうで、既に、一部の刀剣オタクが「ごっこ」感覚のまま本当にテロまで行っちゃった犯罪、と言われてる。
この調子なら、ぷちナショナリズム症候群だの右傾化といっても、実は底が割れてるのかも知れない。