電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

差別を認めるが自分ではしない封建主義者

「『同和利権の真相』の真相」呉智英インタビューを読む。
先日も書いたが、呉智英夫子は、戦後民主主義、人権真理教をさらりと相対化し「人権思想など信じる必要は無い」「差別はしても良いのだ」ということを軽々と言ってのけた先駆者ではあるが、それは大局的な構造のことを言ったまでで、呉智英夫子自身が、個別の同和地区出身者をねちねちといじめるのが大好きの差別者なわけではない。
だからこうして解放出版の用意した席にも気軽に応じるわけで、さて夫子の言説の風下に便乗する徒にこういう度量があるかは疑わしい。
もっとも、このインタビューも、聞き手の善意を疑うつもりは無いものの、大局論と個別論の不幸なすれ違いはいささか否めなかった。
確かに、弱者、被差別者であることを商売のネタにしたり行政からあぶく銭を得ている「職業被害者」「職業弱者」とも言うべき人間は問題だが、一方には本当に差別の不幸にあえいでいる人間もいるわけで(夫子は、そうした人間を侮蔑的には言わない)、解放同盟や同和地区在住者の全部が利権屋というわけではなかろう。