電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

巨大組織ではボスさえもシステムの部品だ

わたしは近年、ひょっとしたらヒトラーは本当にユダヤ人600万人虐殺の具体的詳細については知らず、ヒムラーとかハイドリヒに、曖昧に「収容所に入れたユダヤ人? よきにはからえ。任せた」とか言ってたら、ボスに心服してるSSの連中が、指示を過大解釈して暴走大虐殺、とかいうのが、案外とリアルな実像かも知れんなあ…と考えている。
また、スターリンの恐怖政治とかも似たような側面があったんじゃないかと思える。末端の秘密警察幹部には、ボスの命令だからというより、どさくさまぎれに職権乱用で自分の気に食わない人間を粛清の対象にし、それが後世現在スターリンの責任になった例も少なくないのではないか、とか。
――急いで付け加えるが、だからってわたしは、それでヒトラースターリンなど頂点にいた個人を一切免罪したいワケではない! たぶん、上記の推察が一面で当たっていても、ボスの指示を受けた下々の秘密警察が実際に何をやるかは、ボスには、ちょっと想像すればわかったはずだが、自分自身が手を汚してるという思いを味わいたくないために、曖昧に放置していたのではないか? これは人間の感情としてあり得ると思う。いかに独裁者でも、一個人で確信犯で大虐殺を指揮できる人間は、現実にはそうそういない筈だからだ。