電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

質量保存の法則

今さら『鋼の錬金術師』を観る。で、今さら、なんかカッコいい決め台詞を覚えたので、今さら引用しておく。
「等価交換の原則」「何かを得るのには相当の代価が必要」
おお、なんと教育的な言葉だろう! まるで『千と千尋の神隠し』の隠されたテーマのひとつ、「人は正当な労働の代価以上を求めるべきではない」(カオナシが無限に黄金を出すのを千になった千尋が拒否する場面)を彷彿させるではないか、つまりバブル批判だ。
世間の俗流用語では「錬金術」と言うと、時々「財テク」の気取った換言語になってるが「無から有を作り出すことはできない」、「質量が1の物からは同じく質量が1の物しか作れない」のだ。土地でも株でも本来の額面以上の時価がついた物は泡に過ぎず、いずれ必ずはじける、少ない労力で過大な利益還元などというのは、所詮どっか物理法則を無視しているのである。楽して儲けると甘言をほざくネットワークビジネスその他の悪徳商法野郎どもには声に出してぶつけてやりたい日本語である。
それにしても、前にも書いたが、最近のファンタジー物は「魔法や超能力だから何でもあり」が多すぎ、制限の枠あってこそリアリティと話の面白さが生まれるってことを忘れてはいかんよ(これもバブル世代の価値観の悪影響、ってのは、こじつけ過ぎだろうが)。鋼練はそこが良いな。
ってゆーかアル萌え。「攻殻機動隊SAC」を観て、よもや多脚思考戦車のタチコマに萌えるとは思わなかったが、ただの骨董品の甲冑鎧にまで萌えられるとは思わなんだ(←バカ)