電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

蚊帳の外の正義

宅八郎の話とか書いてたら、『機動戦士ガンダムヒストリカ GUNDAM HISTORICA』浅羽通明先生が登場
ガンダムとかこの手の本で上野俊哉大塚英志ではなく浅羽通明氏ってのは珍しい……と、誰も書かないだろうから、俺がわざとらしく指摘。
内容としては、ファーストガンダム放送の1979年の国際情勢、社会世相と、敵を従来の、宇宙からの侵略者などでない、同じ人間の国家としたファーストガンダムの対立構図の視点が当時どう斬新だったかについて等……。
当時、ベトナム戦争が解放勢力の勝利に終わりつつ、その後ポルポトの恐怖政治が暴露され、従来の図式なら、進歩的知識人&学生にとって「正義」だったはずのアジア社会主義陣営のベトナムカンボジア戦争の勃発し、単純な社会主義対資本主義、先進国の抑圧国家対アジアの被抑圧国家という図式が壊れた点などへの言及は、偶然にも、わたしがこないだPANTAの再発売アルバム『走れ熱いなら』のライナー原稿内で触れた内容とも少しかぶる……って、当時のことを書くならそれに触れないわけには行かないわけだけど。
図書館で坪内祐三『1972 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』を読み返す。
連合赤軍あさま山荘銃撃戦のさ中、大枠で「中共=正義/米帝=悪」と考えてた連赤兵士の一人坂口は、米中国交樹立、ニクソン毛沢東の握手のTV報道に衝撃を受けたという。
坂口以外の多くの日本人にとっても青天の霹靂の頭越し外交だったというが、発想が横道へ逸れるのだけれど、これってしてみると、更にその30年余り前の独ソ不可侵条約締結を見せ付けられた時と似たようなもんだったのかも知れない、なんてことをふと思った。戦前も戦後も同盟国からも信用されてない日本って……