電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

生き字引「編集家」の証言

竹熊健太郎ゴルゴ13はいつ終わるのか?』(イーストプレス
表題になった、最終回予測で盛り上がれる超長期連載マンガ『ゴルゴ13』『ガラスの仮面』『美味しんぼ』が、初出原稿の書かれた13年前から、いずれもいまだ続いているというのが凄い。
1960年前後生まれのオタク第一世代と呼ばれる人々の中で、ガンダムに乗れたか否かが大きな分かれ目という点(竹熊氏は、ガンダムにははまらなかったクチ。でもエヴァンゲリオンは評価しているというのが複雑な立ち位置)、70年代ミニコミ・ブームの背景にあった「簡易オフセット」の普及という印刷技術の側面などは、きわめて重要な時代証言だろう。
竹熊氏、東浩紀とも親しいようだが、どうもエロゲーには興味ないのだろうか。
竹熊氏も関わっていた70年代末〜80年代初頭の自販機エロ本は「名目上エロさえ入ってりゃあとは何やってもOK」という雰囲気で、最初期の新人類・オタク世代のマイナーな表現者の実験場となっていたというが、90年代末〜20世紀初頭、エロゲーというジャンルがそれに近い面を持ったことを、当時との対比、系譜的な視点も踏まえて語ってくれる人は出てこないのか。
(まあ、ある程度は東がやってるんだろうけど)
ほか、いずれも竹熊氏の文章としては一度読んだことのあるものが多いが、私的個人的にちょっとニヤリとしたのが、手塚治虫ドストエフスキーの話。この原稿、初出が2001年の8月だそうで、わたしはそれ以前、畏友ばくはつ五郎氏とともに竹熊氏宅にお邪魔させていただいたことがあるが、そういえばその時、手塚版『罪と罰』と原作のラストシーンの違いの話をした記憶があった。
(まあ、竹熊氏の方は覚えてないかも知れないけれど……)