電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

久々に膝を打つ

永久保存版より

家族に「迷惑をかけた」といって自殺した高齢者と、「みんなに迷惑をかけた」ことで三人のボランティアを罵倒した人に共通するのは、「人様に迷惑をかけるような人になるんじゃないよ」と常に心優しき日本の母に叱咤されながら育ったことであり、それゆえに「迷惑をかける」他人や自分に容赦できなかったのです。でも、人は他人に迷惑をかけてもやはり生きていかなければならないものであり、また人に迷惑をかけてもなされなければならない正義というのもまたあるのです。そもそも「迷惑をかける」というのは字面を見れば単に他人に感覚的に不快な体験を与えたという程度のことで、それで一切合財が割り切れるほど人間は単純なものではないはずです。ただ、感覚を超えた超越者というものを持たない私たち日本人一般は「みんなに迷惑をかけない」を超える生きる意味や倫理的基準を見出すことはも大変困難で、それはオウム事件以降より一層難しくなったと思います。

おうよ。なんで皆「みんなに迷惑」「人様に迷惑」って言うかな?
イラク人質三人だろうと、靖国参拝にナンクセつける外国だろうと、ストーカーだろうと、スパム、迷惑メール送信行為だろうと、会社を潰れる手前まで放っといた大手金融・証券会社の経営陣だろうと、大事故起こして死者多数出す鉄道会社だろうと、天皇の戦争責任だろうと、
「俺が迷惑」
と言えぬのか?
多分、そこが日本人の限界だ。

付記

「『みんなに迷惑をかけない』で結構じゃないか、何が悪いの?」という方のための、この話の続き。
http://d.hatena.ne.jp/gaikichi/20061201#p4