電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

「指導者は無知な方が良い」って本当か?

司馬遼太郎坂の上の雲』を読むと、二百三高地の攻略に関して、単純な歩兵突撃を繰り返させた伊地知参謀長に黙って従うだけだった乃木大将への人物評価は厳しいが、総司令官の大山巌についてはそう批判的には書かれていない。
大山は、薩摩人の指導者の典型例で、細かいことは信頼のできる部下(この場合は児玉源太郎大将)に任せて、自分は現場の細かい事情はあえて知ろうとせず、いざ事態がどうにもならなくなったら責任を取るために控えている、という態度だったという。
なまじ現場の細かい事情など知ってしまうと、神経質に細々した指示を出してしまい、現場を参らせる、ということであろうか。なるほど、こういう小姑みたいな指導者が組織の頂点に立っていても末端はやりづらい。
実際、日本軍と対比される帝政ロシア軍については官僚主義悪癖が徹底的に、実証的に、指摘されている。
しかしだ「最高指導者は依らしむべし、知らしむべからず」ってのは本当に良い指導者像なのか?