電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

俺の父はアメリカか?日本か?

少し前、ソフトバンクがヤフーBBTVの配信番組のガイドとして出してる会員制の雑誌『paperview』で、富野由悠季作品を初めとするアニメ特集の記事を少々書きました。
で、これを契機にやっとアニメ『リーンの翼』を鑑賞。
のっけから『ブレンパワード』以降の「軟化した」と言われる富野作品とは違う印象。
例えば『キングゲイナー』では、主人公が元引きこもりなのだが、その理由は両親が政治運動に関わってテロで殺されたから、という、現代的なのか時代錯誤なのか今イチ外した設定だったのに、今回は、主人公が在日米軍基地司令官の私生児で、つい先頃まで父親に認知されておらず、それゆえ内心では漠然と反米意識がありそうなのだが、それを積極的に唱える主体性もなく、反米運動をやっている友人にブツクサ言いながら、かといって止めもせずに中途半端な態度だったり、また、長く父親に放っとかれた分、母親が変に主人公を溺愛し(本気の愛情というより後ろめたさかららしい)、それをウザく思っていることが暗示されていたりと、微妙な気まずさ描写がむしろ往年の富野作品らしい。
つーか、むしろ今回の『リーンの翼』こそ『聖戦士ダンバイン』と『Zガンダム』の上手な現代リメイクらしく感じられなくもない。
しかも、今回の黒幕サコミズ(小説版の旧『リーンの翼』の主人公。大東亜戦争中に異世界バイストン・ウェルに行った元日本軍人)は、「今の日本はたるんどる! ワシが叩き直す!」とか言ってるらしい。
Zの劇場版は結局、毒抜きしてソフトにまとめてしまったが、今回は案外、往年の富野節の上手な現代アレンジに期待できるかも知れない。結局ヘタレる可能性も大だが……。
(↑などということは(作品紹介が手一杯で)実際の原稿には書ききれませんでした)