電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

良い子は異物を嫌う

「KY」(空気読めない)を流行語大賞にさせようという人々は、恐らくは「空気に従うのは良いことだ」「自分は空気に従っている」と思っている人間なのであろうと思われる。
そのことと話は少しズレるけれど、これまた前にも書いたが、昨今のネット世論には、「自分は市民社会秩序の側に組している人間=良い子」という意識から、それに反する人間を叩きたいサイレント・マジョリティ(急いで付け加えるが、大抵、その大多数は、ほぼ間違いなく、個々には「直に会えば良い人」である)が増えてるんだろうなあ、という気がする。
しばし前のこのニュース↓なんか、その現れだと思った。

当然?やりすぎ?平手打ち警官に激励2000件
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/82900/

この警官を支持した人々の多くは、べつに、国家権力を熱烈に支持するというわけでもなかろうが、まあたぶん「不良っぽい男子高校生=自分たちの秩序に反する側」と見なしたんだろうな、と思う。
だったら、そーいう不良っぽい奴を警察に叱ってもらう前に、自分で直接「アンタ迷惑だよ」と言ってやれよ、と思うんだが、腹の底でそう思っていても、直接言ったら気まずいなあ、と思ってしまうのがまた「空気」で、こういう警官を英雄視するのは、自分たちの「空気」に応えてくれたからなのか? それとも「空気」のために自分自身でものを言えない気まずさの裏返しなのか? ――なんて思うのは、考えすぎだろうか。