電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

集団狂気をないことにしたい人

……と、きたところで、やっと本日の本題に入る(前フリ長すぎ!!)
件の団体、リバティコープの社長は、ウォルター・シキトカ、というアメリカ人だった。
ま、このウォルターのオヤジ、件のクソ会社は日本人スタッフが勝手にやった事、とか、自分は名誉職に祭り上げられてただけ、とかホザくんだろうがな。
(さらに横道に話がそれるが、ウォルター・シキトカが役員を務める世界FTZ協会日本支部という団体の会長レイモンド・オータニは、一部では、実体のない学位商法団体?とも呼ばれているイオンド大学の関係者である。参考情報)。
で、このミスターウォルターは、南京大虐殺事件について、日本を擁護する発言をしとったそうである。
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=3830
http://www.ne.jp/asahi/unko/tamezou/book/tanaka_masaaki.html
ミスターウォルターは「ダイレクトセールスは民主的なビジネス」とかホザいていた。ほほぅ。日本人の地縁血縁人脈を悪用して拝金主義に洗脳して堕落させる腐れビジネスの伝道師が南京事件で日本を擁護ときたか。
まあ確かに、実際問題、戦時中日本軍が南京で30万人も殺したというのはさすがに中国共産党の水増しプロパガンダが入っとるだろうとはわたしも思う。が、この際、犠牲者の数はどうでも良い。
この場ではこのウォルターつぅのが何者か知らずに、とにかく「なんか知らんけどアメリカ白人の偉い人も日本を擁護しとる」と喜ぶ拝外主義者の日本のウヨクはアホだ。と言いたいわけである。
なるほど「30万人虐殺」は、さすがに中国共産党側の誇張も入ってるだろう。
日本の「虐殺はなかった派」によれば、当時の中華民国軍は、南京市内に民間人に擬装した便衣兵を多数潜伏させており、日本兵が殺したのは便衣兵であって本物の南京市民ではない、というのが通説だ。
しかしである、本当に擬装した便衣兵だっていたろうが、便衣兵か本物の民間人かわからず、周囲を多数の、言葉も通じない「敵かもしれない人間」に囲まれているという恐慌に駆られて思わずブチ殺しまくってしまった日本兵もいたとしておかしくはない。
むしろ、そのような日本兵の心情には同情をさえ覚える。
ところが、今の日本の「虐殺はなかった派」は、そーいった「当時の日本兵」の心情に沿った人間的想像力など持とうとせず、あたかも、日本兵は全員聖人君子、日本人は一切悪くない→日本人である俺は一切悪くないとでも言いたいようなのがしゃらくさい。
実際、南京がどうか知らんが、確かに日本軍も残虐なことはやった、と自ら認めている元兵士もいる
率直に言えば、日本だけが悪いのではない。沖縄では洞窟に避難した日本の民間人も多数、火炎放射器で、虐殺としかいいようない殺され方をしたし、アメリカはその後、ベトナムで同じようなことをしやがった、今もイラクでは駐留米兵の不良行為が止まない。
自称人権大国フランスは1960年代のアルジェリア独立戦争で何をやったか? 自称反帝国主義国家旧ソ連アフガニスタンで何人殺した? 中国共産党は今もチベット人ウイグル人を殺しまくっている。
ただし当然、だからって日本が免罪されるわけでもない。
本当に30万人も殺したかの数の問題ではない。犠牲者が3兆人でも3人でも、虐殺はあったとは言えるのだ。
こういうことは戦争においては常に起きるし、自分自身がその場に何も分からない一兵士としていたらどうか? と考えなくてはならないのではないのか。
そう、それこそ、ネットワークビジネスMLM、連鎖販売の集団狂気と同じなのだ(オイそこ、笑うな!!)悪徳商法団体でも軍隊でも、組織内ではそれが正しいと言われ、自分は正しい陣営に与していると思いたがっていて、そのときはそれが正しいと信じている人間は、平然と「場の空気」によってホイホイとノせられて事に及ぶ。
ところが、そういうことをしでかす人間も、組織や集団を離れてみれば、個々には善良な人間なのである。だからタチが悪い。
アメリカ人のウォルターが、南京についてなら日本人にサービスした発言ができるのは、無関係の第三者だからだろう。
ミスターウォルターには、ぜひとも、アメリカ軍がベトナムで行なった残虐行為や、イラクでの捕虜虐待についての意見を聞きたいものである。
犠牲者の数とかの話ではない、わけもわからぬままそのような狂気じみた戦場に送り込まれ、上官の無言の圧力と集団心理の中でそのような行為に至った自国兵士の心境、心情についてどう思うか? ということが聞きたいものだ。
ウォルターが社長を勤めたリバティコープはとっくに滅んだが、円天だかエル・アンド・ジーだかいう悪徳商法が隆盛を極めて摘発された2007年、70年前の南京事件は終わってない。自ら好き好んで下からのファシズム集団狂気に陥る人間の性という問題は。ただ、人が殺されないというだけの違いだ。