電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

某畏友の言葉「けいおん!の影響で楽器始めたアニヲタはいるけどかなめもの影響で新聞販売店住み込みバイトを始めるヤツはいまい」

ところで1989年当時、わたしの労働の現場は新聞配達だった。あ、そういや同年に逮捕された宮崎勤の実家も新聞販売店だったなあ。
そんなわけで、こんな『かなめも』は嫌だ(新聞配達員実話集)。

  • 学生配達員として新聞販売店(専売所)に入店して三ヶ月後、栄養失調で倒れて一度実家に強制送還される。
  • 朝刊の配達中、酔っぱらいの吐瀉物が道いっぱいに広がっていて迂回を余儀なくされる。
  • 夕刊の配達中、猫が路上で寝ていて絶対にどかず、迂回を余儀なくされる。
  • 朝夕を問わず、配達中、なぜか猫が自転車に体当たりしてくる。
  • 集金に行くとなぜか毎回必ず上半身裸で出てくる親父がいて、しかも乳毛がフサフサでへそまで伸びている。
  • とある外国人の住むアパートに集金に行くと、よほどの大家族なのか、なぜか毎回違う人が出てくる。
  • 売店の寮を改装工事することになり、その間一週間ほど四畳半の部屋に男三人で過ごすことになる。
  • 専業配達員の主任が朝7時に起床し、既に各々の担当地域を配り終わって帰ってきていた他の配達員をムリヤリ自分の担当地域に総動員させて朝8時までに全部配り終わらせる。
  • 配達用のカブでおばさんのスクーターと接触し、販売店の店長が慰謝料を払わされるが、おばさんはまったくぴんぴんしてお茶を飲んでいる。
  • 東棟と西棟のあるツインタワーマンションで、本来の購読契約客とは違う棟の、同じ階数の同じ号室に配達を続け、集金時にようやく棟が違うと気づく。
  • 県内でも悪名高い底辺高校の近所の新聞販売店で、つい店内に財布を置き忘れて配達に行き、近所の高校の生徒が登校する時間に戻ってくると財布が無くなっていた。
  • 夏季に旅行したり帰省する購読客(複数)のため、その間の新聞の取り置きをしていたら、八月の後半、取り置き分の新聞を積み重ねた部屋の床が抜けそうになる。
  • 浪人の学生配達員のところに実家から親が訪ねて来たかと思ったら、その日のうちに荷物をまとめて親と一緒に逃亡。
  • 専業の配達員が集金した金をパチンコですってしまい、引っ込みがつかなくなってそのまま逃亡。
  • 不着、欠配は日常茶飯事の酔っぱらい専業配達員がいて、学生配達員が文句を言うと「オラァオマエラノタメニヤッテヤッテンダー!!!!」との謎台詞で逆ギレされる。
  • 売店の店長が、新聞に入れる折り込み広告チラシで、地元の立候補者から公職選挙法的にそれはまずいだろな広告を引き受けてしまう。
  • 豪雨の中を配達中、川べりで流され、水死しかける。
  • 学生配達員の間で変わったあだ名が定着し、いつしか誰もが本名を忘れ、一名の専業配達員だけしか本名で呼ぶ人がいなくなる。
  • 新聞社の本社に年に一度の健康診断に行くと、本社のトイレが余りにも立派に改装されていて「俺らが汗水垂らした金で…ちったぁこっちにも回しやがれ!!」と怒りを燃やす。
  • 同僚の学生配達員が創価学会に入信して、新聞販売店をやめた後も、選挙のたびに「公明党に入れてね」と電話がかかってくる。
  • 積雪した冬の日、どうにか無事に配達を終えて最後に販売店に戻る途中で自転車が轍にはまって激しくバウンドし、サドルで死ぬほど尻を強打する。

……こう書くとなんか悲喜劇ばかりのようだが、とりあえず俺の経験範囲内でも、一月に集金行ったら裕福そうな購読客からお年玉がもらえたとか、学校を卒業した同僚の学生配達員から机をタダでもらったとかの良かった話もまあ、ある。
だが、幼女の店長代理だけはありえんからな!