電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

本年の反省

本年は、書籍原稿のほか、表に出ない仕事(ほかの執筆者の原稿の加筆修正、企画会社の内部で使われる資料用原稿など)も全部含めると、原稿料収入だけで生活するようになって以来、もっとも大量に仕事した(勤め人をしていた当時の末期には職場のお荷物になっていたことを考えると、栄誉に思うよりない)。
……が、その分だけ個々の原稿仕事では質がおろそかになった面も否定できない。
これを白状するのは自分に仕事を依頼してくれた人間の顔に泥を塗ることになるので心苦しいが、事実であるから仕方ない。
現在の自分の首から下の立場をいえば、(日本の経済は下り坂気味とはいえ)現代の豊かな消費文化があったうえで、東京でフリーランスのライター仕事をしているから生活できている身分であって、中卒で炭坑労働でもするのが当然だった時代などであれば、とっくに使い物にならずに死んでいる(いや、現代でも一部の派遣労働者の職場などは、自分のような人間は確実に使い物にならない)。
本当は自分が現在やっているようなことが「仕事」と言えるかは難しい。そもそも経済的下部構造の変化で「食える」「生活できる」の意味が変わっているのだから(これはバブル期の90年代初頭の段階で気づいていたはずなのだが……)。
なまじ一応は生活できていると、そういう想像力をついうっかり忘れかける。その辺の自分の足元を踏まえたうえで来年は「ちゃんとした仕事」をしたいです。