電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

10.イオンモール福岡

本年1月末、父親の十三回忌で九州を訪れたついでに、高校生当時に住んでいた福岡県糟屋郡粕屋町まで行き、自転車で通学してた高校まで約10kmの距離を歩いてみた。
この一帯の風景はほとんど田んぼと炭坑跡地しかないド田舎である。ところが、田んぼの真ん中にやけに大きな建物と、自動車が何百台も停まっている場所が見える。近づいてみると、それが巨大ショッピングモールのイオンモール福岡だったわけだ。
その敷地面積たるや、わたしの通っていた無駄に広い場末高校とほぼ同じ、飲食店から書店やCD屋は言うに及ばず模型屋や映画館まで揃ってる。
高校生当時のわたしは、学校と自宅以外の「ささやかな非日常」を求めて、学校帰りにわざわざ福岡市の中心街に遠回りして博多区の大型書店やら模型店やら画材屋(アナログ時代の同人マンガ描き御用達)などに寄り道したものだった。もし1980年代当時にこのイオンモール福岡があったら、その必要いっさいなかったじゃん!! それこそ通学路だし。
まさに風景が変わった印象、モールの近辺は田んぼの中に新しい高層住宅も増えてるし。
以前にアニメの『ペルソナ4』を見たら、地方都市の郊外に巨大ショッピングモールが出店してきて、地元商店街は不満がるけど若者たちはそこを拠点に新しい共同性を築いてゆく風景が描かれてたわけだが、そのイメージが改めて実感できた。
イオンモール福岡にはそれこそ県外からも客が来る。ひょっとすると、そこに新しい遠隔地間の若者の出会いの場があるかも知れない…ってのは、 阿部真大『地方にこもる若者たち』(isbn:4022735066)を読む限り、理想化しすぎかもしれないけどね。