電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

5.『パシフィック・リム』

中年特撮オタク冥利に尽きる快作。深海から出現する怪獣の群れに対峙する各国の巨大ロボット軍団という設定は、なんだか石川賢の漫画版『ゲッターロボ號』のようだ。
本作での「怪獣」は、たとえば初代のゴジラが持っていた「核兵器の脅威の象徴」というような、単なる異物・悪役ではない物語性が乏しいという見方の人もいるようですが、クライマックスで主人公たちが生還の期待できない戦闘に出撃し、仲間が犠牲となって敵と相討ち……って、まさに特攻のメンタリティじゃねえか。
1950〜60年代の東宝特撮映画の持ってた現代にはないダイナミズムってやっぱり、戦後の貧困が残る国ゆえのものだったわけだな。そういうえば本作品の監督は、貴重な中進国メンタリティの残るメキシコ人でしたっけ。