電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

6.ドラマ『カラマーゾフの兄弟』

原作は19世紀ロシアでの、貧困やら、古い世代と若い世代の衝突やら、世の中に蔓延する暴力だの残酷だのを描きつつ、「ロシア正教キリスト教ヒューマニズム」で無理やりうまくまとめていた印象。しかし、これを取っ払って現代日本に持ってくると、いかにミもフタもない展開になるかという話。
そんなわけで、原作でのアリョーシャの師・ゾシマ長老にあたる小野寺昭の園田先生は出番が少ないのが少々残念。原作ではあえて明確なオチをつけてなかった「父親を殺したのは誰か?」をベタに描写してしまった点もなんだが、まあ現代劇ならこんなものか。
とりあえず、ロシア語の「カラマーゾフ=黒塗り」そのままにローリング・ストーンズの「黒くぬれ」をうまく劇中歌に使ったり、画面を黒っぽくした演出はムードが出てました。