電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

4.映画『ルック・オブ・サイレンス』

監督:ジョシュア・オッペンハイマーhttp://www.los-movie.com/
2013年に取りあげた『アクト オブ キリング』(http://www.aok-movie.com/theater/)の姉妹編。インドネシアで1965年に起きた反政府派大虐殺の「9月30日事件」の下手人たちを追及する話だが、ひたすら気まずそうなおっさんの顔ばっかりが写る。
政府の手先として虐殺を実行した者たちは「自分より上に命令した人間がいる」「国家のため」「自分は直接現場にタッチしていない」と、ほぼ予想通りの言い訳。虐殺の一因は「共産主義者は神を信じない」「妻を交換してる」とかいうテキトーな噂で、その信憑性も定かでないが、とりあえず信じておかないと自分の行為が正当化できない。
独裁体制は何も強力な独裁者や軍隊ではなく、こういう下々の構成員で支えられてる。
恐らくはスターリン時代のソ連も現在のチベットウイグルでの中共も同様。日本もうっかり戦争に勝ってたら、元憲兵や元特高刑事でこういうのがごろごろしてたんだろうな。