電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2004-06-22から1日間の記事一覧

「情」の効用というか功罪

しかしだ、考えてみると、これは単に、本作品は単純な娯楽作品であるとか、劇中おげ丸というのが単純で情に篤いバカという設定になっている、という意味を超えて、案外、極限状況の人間心理としてこっちこそリアルなのかも知れない、とも思った。 いきなりえ…

寝取られた女のために戦う戦士

『忍法封印いま破る』では、自身の死期を悟った長安が、ひそかに三人の若い愛妾に子種を仕込んで、自分の意志を継ぎ将来の日本に革命を起こす「科学の子」を世に放たんとし、その子種を仕込まれた三人の娘を、長安が若い頃山の民サンカの女に産ませた野生児…

早すぎた近代人

山田風太郎『銀河忍法帖』とその続編『忍法封印いま破る』を読了。 江戸時代初期の鉱山技師大久保長安を、南蛮渡来のからくり仕掛け満載の城に住み、日本のみならず世界覇権まで視野に入れた先駆的近代人=マッドサインティストと解釈した奇想小説、と、かつ…