『中央公論』を立ち読みしたら、
関川夏央と山崎正和が日露戦争100周年を記念して司馬遼太郎の『坂の上の雲』を論じるという対談をやっていた。
谷口ジローとのタッグによる漫画「『坊ちゃん』の時代」五部作で明治人の精神像についての新しい解釈を示してくれた関川は、一部で『坂の上の雲』のまんまパクリとも言われる江川達也『日露戦争物語』(この人の右傾化は小林よしのりと違って付け焼刃に見える。良くも悪くも地金の青臭い左翼ノリを生かしたほうが向いてたようにも思えるが)をどう評価してるのか……なんて思って手に取っても、当然、そんな話は出るわけなかった。
で、日清日露戦争当時の日本の指導層には維新政府には逆賊だった筈の幕臣の子弟が多くいたこと、彼らが海外留学などによって当時としては先進的な考えをもっていたこと等が語られるわけだが、するとどうしても話がそこへ流れ着いてしまうのが「日清日露戦争時の日本の指導層はそんなに優秀だったのに、なんで大東亜戦争時はあんなポカをやってのけたのか?」という疑問である。
どうやらこれは、司馬史観で日本近代史を語ると、避けて通れない命題らしい。