電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

熱狂するシロウト衆/落ち着いたプロ

SAPIO』の「新ゴーマニズム宣言」を読むと、小林よしのりは、イラク人質事件について、意外に「普段個人主義を批判する保守が自己責任を説き、普段国家を否定する左翼が国家の庇護を求める矛盾」とか、イラク人質三人の自作自演説は、さすがに、そんなもんは関東大震災時の「朝鮮人が井戸に毒入れた」と同レベルのネット流言飛語の類で、大新聞が本気でそれを取り上げるのもおかしいのではないか、などと穏当なことを書いている。
(反対に、人質バッシングが良くも悪くも「民意」であることを理解し認めることが出来ず、これを100%「政府権力の陰謀」と信じたがっている一部左翼も論外のバカであるが)
――が、今回の新ゴー宣を読んで俺は悟ってしまった。ああこの分じゃもう、ネットとかじゃ「小林よしのりはアカ、反日」って言われるようになるな(笑 ←いや、笑いごっちゃねえ、マジ!!)と。
ここ数年の「ぷちナショナリズム」とか「右傾化」とか言われる風潮(わたしはもうずっと、これは所詮、冷戦体制崩壊後の後出しジャンケンに過ぎず、今の若い右傾層は、借り物の大局論を自分個人の正統性の論拠にしてる点では、60年代末の左翼学生をひっくり返したと同じ、と思っているけどネ)の最初の取っ掛かりに、小林よしのりの『ゴー宣 戦争論』あたりが果した役割は大きかったと思うが、もはやよしりんロシア革命時のケレンスキーソ連末期のゴルバチョフの立場になりつつあるのかも知れぬ。