電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

地面とお天道様の必要性 『わしズム Vol.12』

既にあちこちで書かれてるけど、浅羽通明宮台真司宮崎哲弥香山リカの揃い踏みは壮挙。バランスは良い。ゴー宣EXTRAと浅羽論考、「天皇家一族自身の人格は無視されてきたが、そういうシステムにわれわれは乗っかってきた」という天皇制批判でも擁護でもない同情論が、いちおう保守系の媒体で活字になったのは初めてじゃないのか?
宮台は率直に部分的敗北宣言。わたしは、第四空間(家庭、学校、地域に次ぐ空間、ストリート、クラブ、サークル文化?など)が人間を成長させる場として機能しなかった理由は、そこには上下関係も共通目的もなく、並列な関係しかなかったからだと考える。それじゃ逃げようと思えばいくらでも横に逃げられるもの。
よほどの自立した個人以外、人間は実は上も下もない状態には耐えられないのではないか? 昨今の「差別ブーム」も、世の中に根のない、よるべない人たちが、わかりやすい「異物」を共通の排除対象にすることで自身の精神の安定をはかるって構造だと思うし。
浅羽と宮崎がともに、右傾化ムードと言われつつ、若い世代の多くが、自身が兵士となり自国を守る国民皆兵制とかを想定してないと指摘してたのは重要。