電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

論壇誌 同盟国の大衆 国民の義務

『諸君!』「世界〈嫌ブッシュ〉同盟は「華氏911」度で燃え尽きたか」中西輝政論考、「ブッシュはアホそうだが同盟国の指導者が偉すぎるのは困る」(大意)というブッシュ肯定論の視点は珍しい。でもあくまで日米同盟堅持の枠内なのは逆説的に戦後平和主義左翼と変わらぬ気も。
『正論』「幻想としての『華氏911』」佐藤健志、こっちのが面白い。ムーアがブッシュを支えるアメリカ大衆批判までできてないという点を『華氏911』と、ブラッドベリの元祖『華氏451』との対比で語ったのは、『サイゾー』のM2対談よりうまい。
そう『1984』でも『素晴らしい新世界』でも古典ディストピアSFって皆、実は管理社会を支えるのは独裁者より愚民だ、って視点が入ってたんだな。しかし「保守的なホラー映画」って言葉は『正論』の読者には説明が必要では? せっかく『ゴジラとヤマトと僕らの民主主義』の作者なんだから「アメリカのSF・ホラー映画の敵怪物は非白人や共産主義者のメタファーだった」って辺りを詳しく書いて欲しかった。
AERAソン・スンホンらスターの「兵役逃れに世論は二分」記事は興味深い。スポーツ選手ならオリンピックで成果を挙げれば兵役免除だが、芸能人じゃそうはならないのは、芸人は本来、河原乞食という原点を照射してるようだ。
そういや昔は子供のヒーロー役を演じた役者は日常でも禁煙してた。スクリーンの中だけでなく規範たることが求められたわけだ。