電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

英霊への背信

何を今更な話だが、「新しい歴史教科書をつくる会」がまた内紛に陥って、これで結局(大月隆寛小林よしのり西部邁に続き)、結成当時からの巨頭が皆抜けた形になった。
で、ここのところ、西尾幹二藤岡信勝八木秀次、それぞれの言い分が『SAPIO』や『正論』や『諸君!』に載ったりしているわけだが、一応目を通してみて、改めて違和感を覚えたことがある。
確か、かつて小林よしのり大月隆寛が主張していたところによれば、なんでもこの「つくる会」を作った理由は、戦争に行って命を張ってきた爺さん連中が、公教育の教科書で、子孫の代に、一方的に悪者のように教えられるのは忍びない、という理由だったはずだ。
――で、紆余曲折の末、大月、小林、西部が抜けた今、各誌での西尾幹二藤岡信勝八木秀次の証言を読むと、ほとんど、いかに自分個人が相手から不当に貶められたかの話しかしてないようにしか読めない、会の本来の発足趣旨の精神に照らし合わせて自分はどうなのか、相手はどうなのか、という話がほとんどないのである。
単純な左翼陣営は「保守内ゲバざまあみろ」ぐらいにしか思わないかも知れないが、こういう見苦しさを「真の英霊への背信者は誰だ?」という視点で批判する人間が出てこないのが、日本の自称愛国者の情けないところである。