電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

自殺するのが流行なら、長生きするのもまた流行♪

フランスでは反マクドナルドの暴動なんてものがあるそうで、先ごろでは、アメリカ資本主義の城ディズニーまでマクドナルドを追放、また、英国の皇太子が外遊先でマクドナルド批判を口にした。
が、日本では、反マック暴動なんぞが起きても到底タダのキチガイ扱いであろうし、どんな伝統文化保守主義者でさえマクドナルド追放など口にしそうにない。
しかし、反マックとか反グローバリズム運動というのは、考えてもみれば、なんのことぁない、エゴイズムの産物である。「地元の商店街が潰れろうが大手資本の安い物の方が食いたい」がエゴイズムなら「地元の商店を守れアメリカ資本出てけ」もエゴイズムだ。
今の日本では、前提としての高度資本主義、消費社会は完成して久しく、つまり幾ら景気低迷といっても、基本として、よもや敗戦直後や、ルワンダのように飢えることはない。
そんな中「豊かな資本主義消費文化」にわざわざ反対する運動が出てくるとすれば、それはもはや、私的個人的好みのエゴイズムを動機とするものしかない。
先月、秋葉原でバレンタインデー粉砕デモなんてのがあって、そこそこ人も集まって盛り上がったらしい。といっても「日本のバレンタインデーなど製菓業者の作った空疎な消費資本主義イベントではないか、そんなくだらんことにチョコレート買う金があればルワンダの難民に食い物を与えろ!」というようなことを主張しているのではなく、チョコレートを貰えぬようなモテない男が集まって不満爆発のデモを行なったのだという。
要するに、衣食足りても女にモテへんという個人のエゴが動機でデモをする人間が一定集まるというわけだ。……一見アホらしいようだが、実際、今や飽食日本において社会変革要求にまで不満層を糾合する突破口のひとつは、そんなところしかないのだろう。