電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

「おしなべて」普及委員会発足宣言!!

ところで、佐野眞一御大もどうやら「すべからく」を誤用していたらしいのを見て少しだけ力が抜ける。
「すべからく」を「すべて」の古風で上等でエラそうな表現だと思って誤用した表記は、酒見賢一の『後宮小説』やら安永航一郎の『海底人類アンチョビー』やら、枚挙にいとまない。どこかで富野由悠季もそう誤用してたのを見た記憶がある。
佐野眞一と同じく、満洲国を論じた『偽満洲国論』(中公文庫)の武田徹も「すべからく」を誤用していた。
浅羽通明の個人ニューズレター「流行神」最新号では、その武田徹を引き合いにして、しつこくこの「すべからく」問題が取り上げられている。
いや、言葉の誤りならわたしも時々やるから人のことは言えない。
呉智英夫子も浅羽先生も指摘しているのは、普通に「すべて」と書いても通用する文章中に、それが古風で格調あるカッコいい表現だと思って「すべからく」と書く、無自覚な気取り、エラそうなスノッブさが鼻につく(それでいて実は誤用なんだから)ということである。
しかし、指摘するだけでは問題は解決しないのかもしれない。
そこでわたしは、どうしても「すべて」の古風で上等でエラそうな表現を使いたい人は、「すべからく」ではなく「おしなべて」という語句を使うことを推奨する!!!!
「おしなべて」であれば、「すべて」の意味に誤用ではない。しかも「すべからく」と同じく五文字で「べ」という文字も入っているではないか!!
つーか、「すべからく」を誤用する人って、マジ「おしなべて」と間違えて使ってる人もいるんじゃないの? と思ってみたり。