電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

倫理の定着は自然に任すよりなし

――さて、こんなことを今さら考え直したのは、ふと、もし「『e-まちタウンPPCマスターカードがムカつく』って、あんた個人の私怨であって、公的な社会正義でも何でもないやん」と言われたら、どう答えるべきか? と、思ったからである。
カード会社側は「便利なものを人に勧めて何が悪い?」と言うかも知れない。実際、勧誘されただけなら、こちらには金銭的損失は無い。
が、わたしは勝手に「携帯電話の契約をしたら、本来それとまったく関係ないのに抱き合わせ商品のようにクレジットカード加入を勧める」という勧誘方法に、催眠誘導の悪徳商法めいたものを感じ取り、また、説明不充分のまま消費者金融のカードに加入させられるのは不快で気持ち悪いことだと思った。それを表明したまでである。
つまりこれは、現状では、一消費者のわたしと商品を勧めた企業との私闘だ。
クレジットカードとは、キレイゴト抜きに言えば、人に借金で買い物することを勧める商売であろう。そりゃごく小額の借金なら問題なかろうが、自覚がないゆえのカード破産だの多重債務は大いに問題になっている。わたしは、カード会社、消費者金融会社の勧誘それ自体が法的に問題なくとも、「不文律の職業倫理」として、やみくもな勧誘は自粛するのがマナー、という意識が定着して欲しいと思っている。
不文律の倫理、なんてものが世の中に定着するのには、相当の時間が掛かる。が、「路上に唾を吐かない」「電車で老人には席を譲る」など、みんなそうしたものだ。誰かが提示しさえすれば、守る人は、強制されずとも自発的に守る。
わたしは、カード会社が、わたしなんぞに糾弾されずとも自然に倫理を身につけるのを、期待はしないがせいぜい希望は捨てずに見守るまでである。