電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

大前提レベルの問題

先日、以下のような記事をみつけた。

高岡に賞賛を送るネトウヨはモテない!? メンズサイゾー的モテウヨへの道
http://www.menscyzo.com/2011/07/post_2843.html

ひでぇな。記事の筆者が所謂「ネトウヨ」を好きであるか嫌いであるかは別問題として、こーいう記事こそ、冷静な客観性がなければ説得力が生まれない。
そこで、自分なりに「ウヨでもモテる可能性」を考えてみた。
断っておくが、わたし自身はモテたことなどないし、メンズ雑誌のナンパ記事などろくに読んだこともない。以下に述べるのは、モテるためのテクニックなどという問題以前の「常識」レベルの話だ。

無職でもモテる奴はモテる可能性

まず記事中、いきなり「ネトウヨ=無職」が前提になっているが、実際には「とりあえず学校や職場にはおとなしく順応しているが、ネット内でだけは過激に中国韓国や民主党日教組を罵る学生や社会人」という人も少なくない。
「無職だからモテない」と「ネトウヨだからモテない」は別問題だ。
そりゃ、いい歳して定収入が得られないよーな男では女性に相手にされないのは基本として当然である。べつにウヨでなくても無職はモテんわ。
ただし逆に言えば、いくら定職に就いていても、不快な態度を取る人間は嫌われる。さらに「モテる奴は定収入がなくてもモテる」という場合さえもある。要するにヒモ・ジゴロの才能のある男だ。
たとえば仮に、外見がイケメン、かつ性格も優しい、お金はなくても服装や身だしなみはセンスがよく清潔、さらに相手の愚痴や悩みをよく聞く、女が仕事してる間に料理や掃除などの家事をこなしてくれる……そーいう男で、たまたま結果的に政治志向においては右翼的、という人なら、まあモテてもおかしくはないだろう。
(あえて具体的なイメージをいうと『闇金ウシジマくん』の「フーゾクくん」編に登場した芳則クンをもうちょい性格良くして、たまーにフッと愛国的なことを言い出す……というような感じ?)
確かに、職業や志向信条も人の好悪の重要な要素になり得る。だが、好かれるか嫌われるかの第一前提ポイントは、相手が快く感じる態度を取れるかどうかだろう。

「モテる闘士」の可能性

次に「ウヨだから非モテ」とは限らない。
裏返して言えば、ダメな奴は左翼でも親中でも親韓でもモテない。
だが、思想運動に身を投じる男に惹かれる女性もごくまれには存在する。
世間的には少数派の変わった趣味ということになるだろうが、世の中には、226事件青年将校のような愛国の闘士に憧れる女性もたまーにいる。
では、どういう闘士ならモテ得るのか?
東日本大震災後、被災地ではボランティアと被災者の結婚がいくつか報道された。瓦礫まみれにになった被災地で一生懸命に汗を流して、自分を含めた被災者のために働くボランティアの姿を見ていれば、そりゃあホレる人がいてもおかしくないだろう。
そう、人から深い尊敬と好感を得るのは、利他的・自己犠牲的なひたむきさなのだ。
同じ思想運動に邁進するにしても、ただいつも政敵を口汚く罵るだけでは、その思想信条の内容に関わりなく「下品で乱暴な人」としか思われない。

非難している対象が中国や韓国だろうと、自民党や大企業だろうと同じことだ。
これはあくまで「たとえば」の話だが、仮に保守とか愛国を主張するなら、過激な口調で韓国や民主党を罵るばかりではなく、たとえば働いて稼いだ金を投じて身を張ってはるばる遠い南方の戦場跡地に行き、汗だくになって戦没者の遺骨回収に励むとか、はたまた、毎週欠かさず靖国神社の敷地を清掃するボランティアをやるとかはどうだろうか?
皆が飲み会で盛り上がってるなか「すまん、俺あした靖国神社に清掃に行くから」と言って帰れば、友人の9割は「何アイツ?」と思うだろう。だが、なかには少数ながら、ウヨサヨに関係なく「アイツはひたむきで真面目だねえ」と好感を持ってくれる人も現われるかも知れない。
断っておくが、これをやればモテるという断定できるわけではない。
だが、政治思想以前の「一般論」として、人の悪口ばかり言って好かれることはありえないが、自分の楽しみを犠牲にして人のために何かする人なら、モテるとまでいわんでも、尊敬や好感を受ける可能性は高いだろう。