電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

現在の自衛隊PKOのような構想

も三島は考えてたらしい。なんでも、自衛隊を二つに分け、一方は純粋な日本の国土防衛に当て、一方、国連の下に国際紛争解決のための国際警察軍を作り、そこに自衛隊を参加させる、とかいうものだ。わたしはこのことを1991年頃の鈴木邦夫氏の文章で知ったが、今出てるAERAの三島特集記事の中にも、よく読むとちらっと三島の国防構想の中にその文字がある。
これも現在のイラク自衛隊派遣と照らし合わせると、見事に似て異なる換骨奪胎ってもんだろう。観念的国粋主義者と見えた三島はノーベル文学賞候補になっただけあって案外国際感覚もあり、国連の国際平和維持に期待してたわけだが、現在の小泉内閣は、国連ではなくアメリカ一国との目先の利害のために自衛隊イラク派遣を行おうとしている。
いや、国連なんぞに期待しすぎる方が非現実的なロマン派ってことなのか?

――現在三島が生きてて、中曽根の後裔小泉の下、ローティーン少女のアイドルグループ(モー娘。)好きを公言する防衛庁長官(って、既に「超時空要塞マクロス」とか「機動戦艦ナデシコ」の世界だな、マジで)によって、何のロマンある使命感も国民の共感もないままイラク行きを命じられつつある今の自衛隊を見たらなんと思うか……
いや、三島には、こんなことになるのは目に見えてただろう。そして、そんな現実を所詮は一文士の自分じゃ変えられんとわかって、さりとて自分の敗北を見たくないから死に逃げしたのかも知れないな。結局死に逃げでは事態は変わらない、が、命を張って訴えたことは、残された人々にも中々そうは忘れられない。それは呪いのようなもんである。

死んで永遠になった奴と、生きて実権力握ってる奴、どっちが本当の勝者かは難しい。