電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

マリア様のこころ――成り上がりは許さねえ?

と、そんなことを考えててふと思い出したのが、イタリアの独裁者ムッソリーニの話。なんでも、ムッソリーニが政権を取ってから、ファシスト党の連中は、気を利かせたつもりで、自分達の統領は実は貴族の末裔だとかいう歴史資料を捏造しようとしたのだが、ムッソリーニはそれを断固退け、自分の実家(記念館になってたそうだ)の壁に「ムッソリーニ家は、代々自分の手で畑を耕してきた一族である」と書かせたそうで。いい話だ。
しかし、ムッソリーニがこんなことをやった理由の一つは、当時イタリアには、彼の上に国王とローマ法王がいたからじゃないかと思う。そんな天与の権威が既に他にあれば、付け焼刃の捏造なんざ意味ないと潔く居直ったということなのではないか、とね。
が、そんな彼は本来の出身階級を裏切らなかったとも言えるわけで、そんなところが、この独裁者が、冷戦体制崩壊後のイタリアでは、ヒトラーとは全然違う意味で、一部では本気で再評価されてる理由の一つなのかも知れない(彼の最大の失点はヒトラーと組んだことで、それさえなければ偉大だったという声は多い)。
――で、結局お前『マリみて』では、誰が萌えなのかよ、って? いや実は俺も一番偉そうな蓉子姉様が…とか思いつつ、二年目に入ってやっと登場の、人徳という理不尽に苛立つ瞳子と、先輩を押し倒す下克上の可南子という二人の近代人(笑)に期待したい。