電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2004-05-01から1ヶ月間の記事一覧

うっかり「資本党」を作りかねない日本人?

日本で「インディーズ資本主義」というと、わたしが思い浮かべるトラウマ的な最悪の姿は、MLM、ネットワークビジネス、いわゆるマルチ商法である。 共産主義だから共産党、はあっても、資本主義だから資本党、は無い。そりゃそうだ、資本主義は別に「主義…

日本的世間は長なき世に転じられるか?

さて、そこで『ア』と『ナ』どちらも最終的に問題になるのは、「『日本的世間』との対峙」ってことなのかなあ、と。 確かに『ア』第四章、『ナ』第二章の両面から語られるように、土着の村の相互扶助とかは、日本的世間の(数少ない)美点とも言えるだろう(…

「見上げる物」と「連なる物」

両書には個人的に不足を感じる部分も幾つかあるけど、まあ、趣味の域を出ないかな……。 例えば『ナ』では、高学歴左翼インテリと異質な中卒自衛隊員出身の本宮ひろ志の大衆的ナショナリズムと反米意識に触れるなら、90年頃『大と大』で、イラクに赴いた主人公…

衣食足りて正義と理想を知る

とりあえず『ナ』第三章で、明治〜昭和、日露〜大東亜戦争で徴兵された、エリートの士官将校ならざる一般庶民出身の兵卒たちが、郷里の村々を超えた国家の大儀とか兵営体験で同胞意識を培い(この辺のわたしの過去の自論)、それが戦後、国家とか軍隊を会社…

遠近法の狂った?思想マンダラ

と、いうわけで、浅羽通明新刊、ちくま新書「名著でたどる日本思想入門」シリーズ第一弾『アナーキズム』(ISBN:4480061746)(以下『ア』)&『ナショナリズム』(ISBN:4480061738)(以下『ナ』)とりあえず読了。 以下、まったく客観的公正さとかは考慮な…

愛国、愛郷、愛町…? ナショナリズムというエゴイズム

かつては、ヒーローの正義の根拠の一つは「自分の共同体を侵略者から守る」だった。 で、いきなりだが、ふと「反日」だとなぜけしからんのか? と考えてみる。一般に「自分を大事にしない人間は、結局他人も大事にしない」という類の物言いがある。自分が自…

悪魔に尻の穴を売るのが「大人」なら、「俺が嫌だから」と答える

「忘却の旋律」のモンスター(本来なら悪者)は、何の象徴なのか? は、幾らでも解釈できる。形骸化した制度、社会、世間、民主主義、功利主義、ルールetc…という建前、とにかくそれに従うことがイコール「大人」、とされるが、お前ら本気でそれを信じてねえ…

正義が成立しない時代におけるヒーローの動機

深夜アニメの「忘却の旋律」を観る。マンガ版では、主人公が立ち寄った町は、住人たちが、モンスター(本来なら悪者)のお陰で経済的恩恵を受けてて、そのためモンスター(本来なら悪者)と戦おうとする主人公が一般人たちから袋叩きに遭う展開が、「ガンバ…